『KAMINARI』(最東対地)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
最終更新日:2024/01/08
『KAMINARI』(最東対地), 作家別(さ行), 書評(か行), 最東対地
『KAMINARI』最東 対地 光文社文庫 2020年8月20日初版
![](http://choshohyo.com/wp-content/uploads/2024/01/916aYcct2-L._AC_UL320_.jpg)
どうして追いかけてくるんだよ!
地の果てまでも、追ってくる。粗暴で不気味、謎の男・カミナリあらわる。決して、見つかってはならない。兄一の勤めるスーパー、デルソルの水産部門に入った新しいアルバイト・野並双太は、愛想がなく、誰とも打ち解けず、常に誰かの目を気にして、怯えているようだった。双太の正体を探ろうとしていた兄一と同僚の麻由美は、ある日、奇妙な男に遭遇する。ごま塩頭を短く刈り上げた五、六十代の、奇妙な抑揚で話すその男は、次第に奇怪な本性をあらわしていった・・・・・・・。(光文社文庫)
最初、この話の主人公は新しく入ったアルバイト店員・野並双太と勘違いするかもしれません。双太は、そう考えるに足る資質を備えているかに思えます。風貌なり、言動なり、そのあまりな思わせぶりは何なのでしょう?
謎の男・カミナリは、名を斉木明といいます。但し本人がそう言うだけで、本名かどうかはわかりません。正体不明で、誰と、どんな関係があるかもわかりません。兄一と麻由美が (偶然らしく) 出会った時は、それがカミナリだとは思いもしません。
名前といえば、野並双太の場合も同様で、それが本名かどうかはわかりません。彼がスーパーに提出した履歴書は、よく見ると、ずいぶんいい加減なことが書いてあります。
ダメならダメでも仕方がないとでも言うように、汚い字で、投げやりな書き方をしています。「名前だけは本名だ」 という根拠はどこにもありません。
※表紙の絵の強烈なインパクトほどには、怖くありません。途中は間延びして、眠たくなりました。結局は、「どうなる、どうなる」 と読み出した最初が一番面白かったかもしれません。OUT!!
この本を読んでみてください係数 70/100
![](http://choshohyo.com/wp-content/uploads/2024/01/916aYcct2-L._AC_UL320_-1.jpg)
◆最東 対地
1980年大阪府交野市生まれ。大阪府在住。
作品 「夜葬」「♯拡散忌望」「えじきしょんを呼んではいけない」「怨霊診断」「おるすばん」他
関連記事
-
-
『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治)_書評という名の読書感想文
『ケーキの切れない非行少年たち』宮口 幸治 新潮新書 2020年9月5日27刷 児
-
-
『キッドナッパーズ』(門井慶喜)_書評という名の読書感想文
『キッドナッパーズ』門井 慶喜 文春文庫 2019年1月10日第一刷 表題作 「キッ
-
-
『ここは退屈迎えに来て』(山内マリコ)_書評という名の読書感想文
『ここは退屈迎えに来て』山内 マリコ 幻冬舎文庫 2014年4月10日初版 そばにいても離れて
-
-
『完璧な病室』(小川洋子)_書評という名の読書感想文
『完璧な病室』小川 洋子 中公文庫 2023年2月25日改版発行 こうして小川洋子
-
-
『カレーライス』(重松清)_教室で出会った重松清
『カレーライス』重松 清 新潮文庫 2020年7月1日発行 「おとなになっても忘れ
-
-
『雪の断章』(佐々木丸美)_書評という名の読書感想文
『雪の断章』佐々木 丸美 創元推理文庫 2008年12月26日初版 冬は厳しく街に君臨した。
-
-
『岸辺の旅』(湯本香樹実)_書評という名の読書感想文
『岸辺の旅』湯本 香樹実 文春文庫 2012年8月10日第一刷 きみが三年の間どうしていたか、話し
-
-
『黄色い家』(川上未映子)_書評という名の読書感想文
『黄色い家』川上 未映子 中央公論新社 2023年2月25日初版発行 人はなぜ、金
-
-
『きみの友だち』(重松清)_書評という名の読書感想文
『きみの友だち』重松 清 新潮文庫 2008年7月1日発行 わたしは「みんな」を信
-
-
『後妻業』黒川博行_書評という名の読書感想文(その2)
『後妻業』(その2) 黒川 博行 文芸春秋 2014年8月30日第一刷 ※二部構成になってます。