『七怪忌』(最東対地)_書評という名の読書感想文

『七怪忌』最東 対地 角川ホラー文庫 2021年4月25日初版

七怪忌 (角川ホラー文庫)

この学校に伝わる七不思議の7つめは誰も知らない。知った者は必ず死ぬから - 。ラノベ作家を目指す高校2年生の慶太は、日々ネタ探しに余念がない。ある日、金髪ショートカットの風変わりな美少女が転校してきた。彼女が密かに七不思議を調べている現場を目撃した慶太は、その目的を探るべく、夜の学校に忍び込む。だが、そこには想像を絶する悪夢と、実行不能なクエストが待ち受けていた - 。ノンストップ、最恐学園ホラー! (角川ホラー文庫)

この学校の踊り場の姿見には曰くがある。
真夜中、毎時四十四分四十四秒に鏡の前に立つと、事故で死んだ女生徒に鏡の中へ引きずり込まれるという。今夜もまたそんな噂を確かめようと、ふたりの女生徒が暗い廊下を懐中電灯の明かりを頼りに突き進んでいく。

鏡に現れる女生徒が何者かはわからない。どんな事故で死んだのか。いつの話なのか。誰なのか。その一切が謎だというのに、”顔が潰れた血まみれの女生徒” を知らぬものはいない。

四十四分四十四秒まであと十数秒・・・・・・・。
夜の学校からふたりの話し声は止み、風が窓を揺らす音だけが微かに聞こえる。
暗闇に慣れた双眸はじっと (姿見に映る) 自らの姿を見つめていた。

「・・・・・・・もう、過ぎた? 」
「たぶん・・・・・・・」
深いため息を吐き、「なぁ~んだ! 」 と落胆の声をあげた。なにも起きなかったことを嘆きながらも、内心はなにも起こらなかった安堵感があった。

せっかくだからほかの七不思議も・・・・・・・
あれ? 間を置いて素っ頓狂な声を漏らした。
姿見の前で横を向いたまま女生徒は固まっていた。一緒にいたはずの友人がいない。恐る恐る名前を呼びかけるが、冷たいコンクリに反響した声がエコーになるだけだった。

強い声で呼ぶ。いない。
階段の下も、上も、どこにもいない。忽然と友人はいなくなってしまった。
泣きべそを掻き、まさかと思い姿見を振り返る。

・・・・・・・けて!
ほんの一瞬。刹那の間 -
彼女は見た

鏡の中からこちら側を叩く友人の姿を。後ろから友人の胸をがっしりと抱く、傷だらけで灰色の・・・・・・・痩せた腕を。
そしてすぐにその姿は消え、鏡は再び闇だけを写した。

この話は、学校に伝わる 【七不思議】 のひとつである。七つのうちの六つまでは、皆が知っている。七つ目は誰も知らない。知れば、死ぬ。正しく言うと、

死者の世界に引き込まれ、二度とそこから戻れなくなってしまう。

※「夜葬」 はリアルに怖かった。対地さん、「夜葬」 を超える恐怖を是非ともものにしてください。それまでは (たとえ駄作であったとしても) 応援しています。諦めないで。頑張ってください。

この本を読んでみてください係数 75/100

七怪忌 (角川ホラー文庫)

◆最東 対地
1980年大阪府交野市生まれ。大阪府在住。

作品 「夜葬」「♯拡散忌望」「えじきしょんを呼んではいけない」「怨霊診断」「おるすばん」「KAMINARI」他

関連記事

『おるすばん』(最東対地)_書評という名の読書感想文

『おるすばん』最東 対地 角川ホラー文庫 2019年9月25日初版 おるすばん (角川ホラー

記事を読む

『なまづま』(堀井拓馬)_書評という名の読書感想文

『なまづま』堀井 拓馬 角川ホラー文庫 2011年10月25日初版 なまづま (角川ホラー文庫

記事を読む

『カレーライス』(重松清)_教室で出会った重松清

『カレーライス』重松 清 新潮文庫 2020年7月1日発行 カレーライス 教室で出会った重松

記事を読む

『農ガール、農ライフ』(垣谷美雨)_書評という名の読書感想文

『農ガール、農ライフ』垣谷 美雨 祥伝社文庫 2019年5月20日初版 農ガール、農ライフ

記事を読む

『夏の終わりの時間割』(長岡弘樹)_書評という名の読書感想文

『夏の終わりの時間割』長岡 弘樹 講談社文庫 2021年7月15日第1刷 夏の終わりの時間割

記事を読む

『ナキメサマ』(阿泉来堂)_書評という名の読書感想文

『ナキメサマ』阿泉 来堂 角川ホラー文庫 2020年12月25日初版 ナキメサマ (角川ホラ

記事を読む

『人間に向いてない』(黒澤いづみ)_書評という名の読書感想文

『人間に向いてない』黒澤 いづみ 講談社文庫 2020年5月15日第1刷 人間に向いてない

記事を読む

『裸の華』(桜木紫乃)_書評という名の読書感想文

『裸の華』桜木 紫乃 集英社文庫 2019年3月25日第一刷 裸の華 (集英社文庫)

記事を読む

『ぬるい毒』(本谷有希子)_書評という名の読書感想文

『ぬるい毒』本谷 有希子 新潮文庫 2014年3月1日発行 ぬるい毒 (新潮文庫) &n

記事を読む

『きみは誤解している』(佐藤正午)_書評という名の読書感想文

『きみは誤解している』佐藤 正午 小学館文庫 2012年3月11日初版 きみは誤解している (

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

『神の手』(望月諒子)_書評という名の読書感想文

『神の手』望月 諒子 集英社文庫 2022年7月12日第8刷

『腐葉土』(望月諒子)_書評という名の読書感想文

『腐葉土』望月 諒子 集英社文庫 2022年7月12日第6刷

『死刑について』(平野啓一郎)_書評という名の読書感想文

『死刑について』平野 啓一郎 岩波書店 2022年6月16日第1刷発

『ハレルヤ』(保坂和志)_書評という名の読書感想文

『ハレルヤ』保坂 和志 新潮文庫 2022年5月1日発行

『鞠子はすてきな役立たず』(山崎ナオコーラ)_書評という名の読書感想文

『鞠子はすてきな役立たず』山崎 ナオコーラ 河出文庫 2021年8月

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑