『プロジェクト・インソムニア』(結城真一郎)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2024/01/06
『プロジェクト・インソムニア』(結城真一郎), 作家別(や行), 書評(は行), 結城真一郎
『プロジェクト・インソムニア』結城 真一郎 新潮文庫 2023年2月1日発行

「♯真相をお話しします」 の著者による超絶どんでん返し ノンストップ長編ミステリー
「聞いたことない? 夢の中で死ぬと現実でも死ぬっていう都市伝説」 極秘人体実験 「プロジェクト・インソムニア」、次々と殺害される被験者・・・・・・・殺人鬼の正体は - !!
睡眠障害 (ナルコレプシー) のせいで失業した蝶野は、極秘人体実験 「プロジェクト・インソムニア」 の被験者となる。極小チップを脳内に埋め込み、夢を90日間共有する - 。願望を自在に具現化できる理想郷 (ユメトピア) は、ある悪意の出現によって恐怖と猜疑に満ちた悪夢へと一変する。次々と消えてゆく被験者たち、はたして連続殺人鬼の正体は - 。驚愕の真相に涙が落ちる。最注目の新鋭作家による、大満足の長編ミステリー。(新潮文庫)
事の発端はこうです。
主人公の蝶野恭平は、日常生活の中で突発的に睡魔に襲われ眠り込んでしまうナルコレプシーという睡眠障害に悩まされている。この疾患のせいで失業した彼は、中学時代の友人で、夢に関する研究開発を行っているソムニウム社に勤める蜂谷から、同社が社運を賭けて進めている極秘実験 「プロジェクト・インソムニア」 に参加してほしいと持ちかけられる。その内容は、年齢・性別・属性の異なる複数の人間が、極小サイズのマイクロチップを頭部に埋め込むことで同じ夢の世界を共有し、90日間その中で共同生活を営む - というものだ。
実験に参加することを決断した蝶野は、《ユメトピア》 と名づけられた夢の世界の中で生活を始める。《ドリーマー》 と呼ばれる被験者たちは、自分が夢の中にいるという明晰夢状態を維持したまま、潜在意識によって理想の夢の世界を創造することが可能だ (《クリエイト》 という能力によって、現実には存在しない架空のものまで自由に生み出せるようになっている)。つまり、現実世界では叶わない願望をこの世界では満たせるようになるのだ。
夢の中では何をしても法律で裁かれることはないので、そこを理想郷たらしめているのは各自の倫理観や社会的規範のみだが、被験者のひとりであるナメリカワテツロウという男が反社会的な願望を口にするのを聞いて、蝶野は不安を覚える。
実際、実験は最初のうちこそ問題なく進行していたが、やがて理想郷だった筈の夢の世界はある出来事を機に一変する。その出来事とは、《ユメトピア》 で包丁を突き立てられて倒れている男が発見され、しかもその場に中空から 「1人目」 と書かれた紙切れが舞い落ちてきてすぐに消えたことだ。そして、被験者たちを次々と異常な事件が襲う。(解説より)
※最近流行りの、こんな作品のことを 〈特殊設定ミステリー〉 というらしい。現実とは違う異世界を舞台にしたり、死者が蘇ったり、超能力や幽霊が実在するものとして登場したり・・・・・・・そんな諸々と謎解きのロジックとが融合してできたミステリーであるらしい。
今回、その異世界が 《ユメトピア》= 夢の中に広がる “理想郷” であるという。集められた男女7人は、現実世界で何らかの問題を抱えており、それはかなり深刻で、場合によっては生き死にに関わるほどに重篤なものであるらしい。
話の進捗とともに、その内容が徐々に明らかになっていきます。そしてそれがすべての、謎を解く大きな鍵となります。
読んでどうだったかと訊かれると、うまく答えることができません。帯の煽り文句ほどには驚きもしませんし、泣けもしません。緻密な構成、計算し尽くした仕掛け、見事な回収と予想のはるか上を行く驚きの事実 - それはそれで認めはするものの・・・・・・・
話の筋を追い、今がどんな状況なのかを理解するのに精一杯で、心から楽しむことができません。ほかの人はどうなのでょう? 鈍い私だからでしょうか。
この本を読んでみてください係数 80/100

◆結城 真一郎
1991年神奈川県生まれ。
東京大学法学部卒業。
作品 2018年、「名もなき星の哀歌」 で新潮ミステリー大賞を受賞してデビュー。’21年、「♯拡散希望」 で日本推理作家協会賞 (短編部門) 受賞。著書に 「♯真相をお話しします」 などがある。
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