『ババヤガの夜』(王谷晶)_書評という名の読書感想文
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『ババヤガの夜』(王谷晶), 作家別(あ行), 書評(は行), 王谷晶
『ババヤガの夜』王谷 晶 河出文庫 2025年5月8日 10刷発行
日本人作家初! 世界最高峰のミステリー文学賞 英国推理作家協会主催 ダガー賞受賞作 (2025 翻訳部門 訳:サム・ベット)

世界が息を呑んだ最狂のシスター・バイオレンス・アクション!
お嬢さんお嬢さん、十八かそこらで、なんでそんなに悲しく笑う? 暴力を唯一の趣味とする新道依子は、関東有数規模の暴力団・内樹會にその喧嘩の腕を買われる。会長が溺愛する一人娘の運転手兼護衛を任されるが、彼女を過酷な運命に縛りつける数々の秘密を知り - 。血が逆流するような描写と大胆な仕掛けで魅せる不世出のシスター・バイオレンスアクション! ◎解説=深町秋生 (河出文庫)
「王谷晶」 という作家がいることは知っていました。顔も、名前も、最近世界的な文学賞を受賞したことも。にもかかわらず、受賞のニュースのあとしばらく気にもしなかった理由は何だったのだろうと考えました。
気付いたことがあるにはあるのですが、それは敢えて書きません。あまりに狭量で、書くのが恥ずかしすぎるからです。今は、そんな自分を深く反省しています。そして、心の底から読んでよかったと。おそらく私にとってこの夏一番の、忘れられない一冊になる予感がします。
なんだか愉しくなってくる。どんどこ血が脈打ってくる。王谷晶 『ババヤガの夜』 (河出書房新社) だ。
暴力団に拉致されても音を上げず、果敢に闘うファイターながら、自分を襲ってくるドーベルマンを殺すことが出来ない。やくざを殴って失神させても犬は殺せないのだ。新道依子はそういうファイターだ。
なぜ殺せないのか。人を疑うことを知らない目が忘れられないからだ。子供の頃に祖父が飼っていた犬のことだ。ちくわが好きな雑種犬で、こっそりあげたことがばれると 「人間の食い物をやるな」 と祖父に張り倒された。新道依子に懐いていたわけではない。気のいい犬だったが、主人は祖父と決めていたようで、最後の一瞬まで祖父と一緒にいて、雪に埋もれて死んだ。依子はその祖父に 「お前は天稟がある」 と北国で鍛えられた。その習練は厳しく、木刀で打つのになんの躊躇もなく、雪の積もる外で凍死寸前になるまで正拳突きをやらされ、組手では三度、骨を折られた。そのくだりを引く。
「力の中に身を浸すのが、楽しかった。自分が勝てばより楽しいが、圧倒的な力に晒されるのもぞくぞくした。痛みや悔しさすら刺激的で楽しかった。漫画や、音楽や、ファッションよりもそれはずっと楽しい娯楽だった。暴力は、気が付くと新道依子の唯一の趣味になっていた」
新道依子はそういうファイターである。(以下略/北上次郎 「WEBの雑誌」 より)
※文句なしに面白い。それは間違いありません。特に 「バイオレンス・アクション」 に目がない方には超おススメの一冊です。国際的な文学賞の受賞も然り、続けて読むのが惜しいと思うくらいにワクワクする作品です。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆王谷 晶
1981年東京都生まれ。
著書に 『完璧じゃない、あたしたち』 『君の六月は凍る』 『他人屋のゆうれい』 『父の回数』、エッセイ 『カラダは私の何なんだ? 』 『40歳だけど大人になりたい』 など。本作の英語版は2024年、ロサンゼルス・タイムズ紙で 「この夏読むべきミステリー5刷」 の一冊に選ばれるなど高い評価を受け、2025年には日本人として初めて、英国推理作家協会賞 (ダガー賞) 翻訳部門を受賞した。
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