『麦本三歩の好きなもの 第一集』(住野よる)_書評という名の読書感想文

『麦本三歩の好きなもの 第一集』住野 よる 幻冬舎文庫 2021年1月15日初版

麦本三歩には好きなものがたくさんある。歩くこと。寝坊すること。本を読むこと。食べること。仕事先の図書館では先輩に怒られがちだけど、大好きなチーズ蒸しパンを食べれば気分は上々。休みの日は、お気に入りの音楽を聴きながらひとり時間を満喫する - 。何も起こらない毎日だけどなんだか幸せ。そんな三歩の日常を描いた心温まる連作短篇集。(幻冬舎文庫)

(wikipediaによると) 住野よるの6作目の小説。図書館勤務の20代女子麦本三歩を主人公とした日常小説。住野はTwitter上で 自作品の登場人物の誰かになれるとしたら、僕は麦本三歩になりたいと発言している。

住野作品の表紙はこれまで全てイラストが使われてきたが、この作品では初めて写真が使われた。三歩役のモデルはBiSHのモモコグミカンパニー、撮影は外林健太が担当。(注:これは単行本のことです)

2020年1月10日に発表された、丸善、ジュンク堂書店、文教堂等の販売データをもとに集計した2019年 二十歳 はたちが一番読んだ小説ランキング で2位となった。

『君の膵臓をたべたい』、『また、同じ夢を見ていた』、『青くて痛くて脆い』。ついでに 『よるのばけもの』 だって読みました。確かに、読むと人気があるのがわかります。

この本のことも知っていました。買うか買うまいか、迷う間に日が経ってしまいました。先日書店で文庫を見つけた時は、(私みたいな年配者にはあまりに不似合いな) ポップな表紙に少しく戸惑いながらも、これで (廉価で) 読めると喜びました。

ところが、(残念ながら) 喜んだのはつかの間でした。”読めた” のは、ほんの20ページほどだったでしょうか。

本を開いた瞬間に、既に - どこか場違いな所へ来たような - そんな感じがしたのは、明らかに、私よりかは遙かに若い人に向けた本であるのにすぐに気付いたからでした。

本を買う時、”少しく戸惑った” のが悔やまれてなりません。ちょっとでも中身がわかっていれば、私はこの本を買いはしなかったろうし、読もうともしなかったろうと思います。作品の善し悪しではありません。それ以前の、私に限ってのことです。

評判がいい。売れている。人気があるからといって、手あたり次第に読めばいいというものではありません。その年齢だからこそ味わえるというものがきっとあるはずです。そこを見極めなければなりません。で、結論。

年甲斐もなく、買った私が悪かった。

この本を読んでみてください係数 00/000

◆住野 よる
1990年生まれの31歳(らしい)。大阪府在住。男性。

作品 「君の膵臓をたべたい」「また、同じ夢を見ていた」「青くて痛くて脆い」「か「」く「」し「」ご「」と「」「よるのばけもの」等

関連記事

『窓の魚』(西加奈子)_書評という名の読書感想文

『窓の魚』西 加奈子 新潮文庫 2011年1月1日発行 温泉宿で一夜をすごす、2組の恋人たち。

記事を読む

『春の庭』(柴崎友香)_書評という名の読書感想文

『春の庭』柴崎 友香 文春文庫 2017年4月10日第一刷 東京・世田谷の取り壊し間近のアパートに

記事を読む

『四十回のまばたき』(重松清)_書評という名の読書感想文

『四十回のまばたき』重松 清 幻冬舎文庫 2018年7月25日18版 結婚7年目の売れない翻訳家圭

記事を読む

『八月の青い蝶』(周防柳)_書評という名の読書感想文

『八月の青い蝶』周防 柳 集英社文庫 2016年5月25日第一刷 急性骨髄性白血病で自宅療養するこ

記事を読む

『未必のマクベス』(早瀬耕)_書評という名の読書感想文

『未必のマクベス』早瀬 耕 ハヤカワ文庫 2017年7月25日発行 IT企業Jプロトコルの中井優一

記事を読む

『芽むしり仔撃ち』(大江健三郎)_書評という名の読書感想文

『芽むしり仔撃ち』大江 健三郎 新潮文庫 2022年11月15日52刷 ノーベル文

記事を読む

『万引き家族』(是枝裕和)_書評という名の読書感想文

『万引き家族』是枝 裕和 宝島社 2018年6月11日第一刷 「犯罪」 でしか つな

記事を読む

『百舌落とし』(逢坂剛)_書評という名の読書感想文

『百舌落とし』逢坂 剛 集英社 2019年8月30日第1刷 後頭部を千枚通しで一突き

記事を読む

『また、同じ夢を見ていた』(住野よる)_書評という名の読書感想文

『また、同じ夢を見ていた』住野 よる 双葉文庫 2018年7月15日第一刷 きっと誰にでも 「やり

記事を読む

『護られなかった者たちへ』(中山七里)_書評という名の読書感想文

『護られなかった者たちへ』中山 七里 宝島社文庫 2021年8月4日第1刷 連続

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『あいにくあんたのためじゃない』(柚木麻子)_書評という名の読書感想文

『あいにくあんたのためじゃない』柚木 麻子 新潮社 2024年3月2

『執着者』(櫛木理宇)_書評という名の読書感想文

『執着者』櫛木 理宇 創元推理文庫 2024年1月12日 初版 

『オーブランの少女』(深緑野分)_書評という名の読書感想文

『オーブランの少女』深緑 野分 創元推理文庫 2019年6月21日

『揺籠のアディポクル』(市川憂人)_書評という名の読書感想文

『揺籠のアディポクル』市川 憂人 講談社文庫 2024年3月15日

『海神 (わだつみ)』(染井為人)_書評という名の読書感想文

『海神 (わだつみ)』染井 為人 光文社文庫 2024年2月20日

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑