『みんないってしまう』(山本文緒)_書評という名の読書感想文

『みんないってしまう』山本 文緒 角川文庫 2025年6月25日 初版発行

あなたの時間を少しだけ、小説とともに。いつもより大きな文字で届ける厳選名作。

ひとつ失くすと、ひとつ貰える。喪失の先の光に会える100分間。

人生ではじめて、街中でばったり知人に遭遇した。「のんちゃんじゃない? 」 と、今はもうだれも呼ばない愛称で声をかけてきたのは、幼なじみの絵美ちゃんだった。デパートの最上階、特別食堂でガラスの器に盛られた宇治金時を食べながら、私達は時間を取り戻すようにあれこれ話す。そして話題は “同級生の成井君“ へと移っていき - 。(角川文庫)

女性目線で描かれた短い話が五編。あっという間に読み終えました。たまの休みの日、何の予定もない午後の昼寝のお供に読むのはどうでしょう。たまたまつらく悲しいことがあったとしても、少しは気分転換になるのではないかと。(私は男性で、本当のところはわかりませんが)

(目 次)
みんないってしまう
不完全自殺マニュアル
片恋症候群
裸にネルのシャツ
イバラ咲くおしゃれ道

「読書メーター」 で見つけた如何にも女性らしい感想を一つ紹介します。iroiroさんからの投稿です。

「無人島のふたり」 を読んで、本屋で綺麗な表紙の本を見つけて購入。字が大きくて読みやすかった。5つの短編集。どれも好きだけど、「片恋症候群」、好きな人のゴミ袋をあさったり、ストーカーになったり・・・すごく嫌なことしてるけど、最後の言葉、「恋が高尚だなんて嘘だ。好きって気持ちはエゴでしかない。・・・気持ちが悪いと思われても。一生口をきいてもらえなくても。」 には、ドキッとした。主人公は、みんなちょっと屈折していて、そういうところにとても心惹かれる。やっぱり山本文緒さん、とてもいい。

※正直に言いますと、私はやっぱりもう少し長いもの、手の込んだものの方に “読みがい“ を感じます。すらすら “読めすぎる“ のが問題で、かえって印象に残りません。「著者ならでは」 の五編だとは思いますが、すべてが横並び、「中の一冊」 を選ぶことができません。

この本を読んでみてください係数  80/100

◆山本 文緒
1962年神奈川県生まれ。2021年10月13日(58歳)没。
神奈川大学経済学部卒業。

作品 「恋愛中毒」「プラナリア」「アカペラ」「ブルーもしくはブルー」「パイナップルの彼方」「自転しながら公転する」「無人島のふたり」「ばにらさま」他多数

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