『政治的に正しい警察小説』(葉真中顕)_書評という名の読書感想文

『政治的に正しい警察小説』葉真中 顕 小学館文庫 2017年10月11日初版

飛ぶ鳥を落とす勢いの新鋭作家・浜名湖安芸 (はまなこ・あき) は、「ポリティカル・コレクトネス」 をコンセプトにした警察小説という “意識高い” 依頼を受けた。パワフルでエキセントリックな編集者を相手に、ハマナコは超大作を書き上げる!? (「政治的に正しい警察小説」) 大学生の僕は、偶然通りかかったカレー店で思い出の味に再会した。幼いころに生き別れた母の味だ。女店主にその 「秘密の隠し味」 を訊ねると・・・・・・・。(「カレーの女神様」 そのほか、児童虐待、将棋、冤罪、尊厳死など、多彩なテーマの六編を収録するブラックユーモア・ミステリー集。著者初の文庫オリジナル作! (小学館文庫)

※ポリティカル・コレクトネスとは、性別・人種・民族・宗教などに基づく差別・偏見を防ぐ目的で、政治的・社会的に公正・中立な言葉や表現を使用することをさす。wikipedia

目次
・秘密の海
・神を殺した男
・推定冤罪
・リビング・ウィル
・カレーの女神様
・政治的に正しい警察小説

帯に 「国家問題級の刺激作! 」 とあります。

(全てがそうとは限りませんが) 言われてみると、そんな内容ではあります。但し、『絶叫』 や 『ロスト・ケア』 といった長編小説のイメージをそのままに、またぞろ期待して読むとするなら、おそらくそれは期待外れに終わります。

それぞれが何かしら重いテーマでありながら、テイストはあくまでブラック&ユーモア。おまけにどんでん返しのミステリーでもあります。大きな期待はせずに、サラッと読んでください。空いた時間にする読書なら、最適の一冊です。

◆この本を読んでみてください係数 80/100

◆葉真中 顕
1976年東京都生まれ。
東京学芸大学教育学部中退。

作品 「絶叫」「ロスト・ケア」「ブラック・ドッグ」「コクーン」「凍てつく太陽」他

関連記事

『残像』(伊岡瞬)_書評という名の読書感想文

『残像』伊岡 瞬 角川文庫 2023年9月25日 初版発行 訪れたアパートの住人は、全員 “

記事を読む

『半自叙伝』(古井由吉)_書評という名の読書感想文

『半自叙伝』古井 由吉 河出文庫 2017年2月20日初版 見た事と見なかったはずの事との境が私に

記事を読む

『地面師たち』(新庄耕)_書評という名の読書感想文

『地面師たち』新庄 耕 集英社文庫 2022年2月14日第2刷 そこに土地があるか

記事を読む

『色彩の息子』(山田詠美)_書評という名の読書感想文

『色彩の息子』山田 詠美 集英社文庫 2014年11月25日初版 唐突ですが、例えば、ほとん

記事を読む

『執着者』(櫛木理宇)_書評という名の読書感想文

『執着者』櫛木 理宇 創元推理文庫 2024年1月12日 初版  すべての油断が地獄の始まり

記事を読む

『走ル』(羽田圭介)_書評という名の読書感想文

『走ル』羽田 圭介 河出文庫 2010年11月20日初版 なんとなく授業をさぼって国道4号線を

記事を読む

『切願 自選ミステリー短編集』(長岡弘樹)_書評という名の読書感想文

『切願 自選ミステリー短編集』長岡 弘樹 双葉文庫 2023年3月18日第1刷発行

記事を読む

『ざんねんなスパイ』(一條次郎)_書評という名の読書感想文

『ざんねんなスパイ』一條 次郎 新潮文庫 2021年8月1日発行 『レプリカたちの

記事を読む

『自由なサメと人間たちの夢』(渡辺優)_書評という名の読書感想文

『自由なサメと人間たちの夢』渡辺 優 集英社文庫 2019年1月25日第一刷 痛快

記事を読む

『すべての男は消耗品である』(村上龍)_書評という名の読書感想文

『すべての男は消耗品である』村上 龍 KKベストセラーズ 1987年8月1日初版 1987年と

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『ケモノの城』(誉田哲也)_書評という名の読書感想文

『ケモノの城』誉田 哲也 双葉文庫 2021年4月20日 第15刷発

『嗤う淑女 二人 』(中山七里)_書評という名の読書感想文

『嗤う淑女 二人 』中山 七里 実業之日本社文庫 2024年7月20

『闇祓 Yami-Hara』(辻村深月)_書評という名の読書感想文

『闇祓 Yami-Hara』辻村 深月 角川文庫 2024年6月25

『地雷グリコ』(青崎有吾)_書評という名の読書感想文 

『地雷グリコ』青崎 有吾 角川書店 2024年6月20日 8版発行

『アルジャーノンに花束を/新版』(ダニエル・キイス)_書評という名の読書感想文

『アルジャーノンに花束を/新版』ダニエル・キイス 小尾芙佐訳 ハヤカ

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑