『KAMINARI』(最東対地)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
『KAMINARI』(最東対地), 作家別(さ行), 書評(か行), 最東対地
『KAMINARI』最東 対地 光文社文庫 2020年8月20日初版
どうして追いかけてくるんだよ!
地の果てまでも、追ってくる。粗暴で不気味、謎の男・カミナリあらわる。決して、見つかってはならない。兄一の勤めるスーパー、デルソルの水産部門に入った新しいアルバイト・野並双太は、愛想がなく、誰とも打ち解けず、常に誰かの目を気にして、怯えているようだった。双太の正体を探ろうとしていた兄一と同僚の麻由美は、ある日、奇妙な男に遭遇する。ごま塩頭を短く刈り上げた五、六十代の、奇妙な抑揚で話すその男は、次第に奇怪な本性をあらわしていった・・・・・・・。(光文社文庫)
最初、この話の主人公は新しく入ったアルバイト店員・野並双太と勘違いするかもしれません。双太は、そう考えるに足る資質を備えているかに思えます。風貌なり、言動なり、そのあまりな思わせぶりは何なのでしょう?
謎の男・カミナリは、名を斉木明といいます。但し本人がそう言うだけで、本名かどうかはわかりません。正体不明で、誰と、どんな関係があるかもわかりません。兄一と麻由美が (偶然らしく) 出会った時は、それがカミナリだとは思いもしません。
名前といえば、野並双太の場合も同様で、それが本名かどうかはわかりません。彼がスーパーに提出した履歴書は、よく見ると、ずいぶんいい加減なことが書いてあります。
ダメならダメでも仕方がないとでも言うように、汚い字で、投げやりな書き方をしています。「名前だけは本名だ」 という根拠はどこにもありません。
※表紙の絵の強烈なインパクトほどには、怖くありません。途中は間延びして、眠たくなりました。結局は、「どうなる、どうなる」 と読み出した最初が一番面白かったかもしれません。OUT!!
この本を読んでみてください係数 70/100
◆最東 対地
1980年大阪府交野市生まれ。大阪府在住。
作品 「夜葬」「♯拡散忌望」「えじきしょんを呼んではいけない」「怨霊診断」「おるすばん」他
関連記事
-
-
『完璧な病室』(小川洋子)_書評という名の読書感想文
『完璧な病室』小川 洋子 中公文庫 2023年2月25日改版発行 こうして小川洋子
-
-
『金魚姫』(荻原浩)_書評という名の読書感想文
『金魚姫』荻原 浩 角川文庫 2018年6月25日初版 金魚姫 (角川文庫) 金魚の歴史は、
-
-
『回転木馬のデッド・ヒート』(村上春樹)_書評という名の読書感想文
『回転木馬のデッド・ヒート』村上 春樹 講談社 1985年10月15日第一刷 回転木馬のデッド
-
-
『カルマ真仙教事件(上)』(濱嘉之)_書評という名の読書感想文
『カルマ真仙教事件(上)』濱 嘉之 講談社文庫 2017年6月15日第一刷 カルマ真仙教事件(
-
-
『空中庭園』(角田光代)_書評という名の読書感想文
『空中庭園』角田 光代 文春文庫 2005年7月10日第一刷 空中庭園 (文春文庫) &
-
-
『キッドナッパーズ』(門井慶喜)_書評という名の読書感想文
『キッドナッパーズ』門井 慶喜 文春文庫 2019年1月10日第一刷 キッドナッパーズ (文
-
-
『禁断領域 イックンジュッキの棲む森』(美原さつき)_書評という名の読書感想文
『禁断領域 イックンジュッキの棲む森』美原 さつき 宝島社文庫 2023年3月21日第1刷発行
-
-
『この話、続けてもいいですか。』(西加奈子)_書評という名の読書感想文
『この話、続けてもいいですか。』西 加奈子 ちくま文庫 2011年11月10日第一刷 この話、
-
-
『飼い喰い/三匹の豚とわたし』(内澤旬子)_書評という名の読書感想文
『飼い喰い/三匹の豚とわたし』内澤 旬子 角川文庫 2021年2月25日初版 飼い喰い 三匹
-
-
『ただいまが、聞きたくて』(坂井希久子)_書評という名の読書感想文
『ただいまが、聞きたくて』坂井 希久子 角川文庫 2017年3月25日発行 ただいまが、聞きたくて