『もっと超越した所へ。』(根本宗子)_書評という名の読書感想文

公開日: : 最終更新日:2024/01/06 『もっと超越した所へ。』(根本宗子), 作家別(な行), 書評(ま行), 根本宗子

『もっと超越した所へ。』根本 宗子 徳間文庫 2022年9月15日初刷

肯定する力で、
全力で愛せ。

稀代の劇作家、初の原作・脚本映画を小説化! 映画版 10.14 Fri 全国公開

好きになった相手はそれぞれクズ。
泣いてないで早く出てってよ!!
と叫んだ4人の女子たちの気持ちが重なり、
超越した恋愛小説が生まれる!
(徳間文庫)

好きになった男を前に、女は 「泣いてないで早く出てってよ!! 」 と言ったのでした。

一方、言われた男はおしなべてクズでした。クズな男が好きになり、それでも男を愛さずにはいられなかった女たちの物語 - 4組、8人の男女が織りなす平場の恋の迷走は、若いあなたの、必ずや共感を得ることでしょう。そう願わずにはいられません。

登場するのは・・・・・・・

櫻井 鈴:旬が過ぎた元女優の鈴は、今はタレントとして働いています。彼女が現在同居しているのは星川富 (ほしかわとむ) こと、とみー。とみーは気の優しい “オカマ” です。

岡崎 真知子:特技は裁縫。性欲がやや強く、それに関して彼女には二大トラウマがあります。現在の彼・怜人は高校の同級生。偶然の再会の後、不本意ながら同棲することに。

安西 美和たいちゃんとは美和が働くガールズバーで知り合いました。LINEを交換し、連日美和が送り続けることで、やがて二人は付き合うようになります。

北川 七瀬:働かない父親と、元AV女優の母の間に生まれた七瀬は、物心つく前からジュニアグラビアをやらされていました。それが自分の性に合っていたのか、彼女は成人して風俗嬢になります。七瀬が働く店の常連客、それが現在の彼・慎太郎でした。

以上がざくっとした現況で、目次でいうと、
それぞれの序章 から始まり、
2020年1月のわたしたち
2020年3月14日のわたしたち あたりまでは似たような状況が続き、ここで話は一旦、

2018年8月31日の僕たち と、ここで初めて男たちが語ります。

そして、再び
2020年4月1日 へと時間は戻るのですが、ここで話は終わりかと思いきや、そういうわけではありません。黒いだけのページを間にはさみ、話は今しばらく続きます。

※実は、登場人物たちの過去にはこんなことがありました。

〇鈴はとみーと出会う前、実は、慎太郎と付き合っていました。
〇真知子は、怜人と再会する前、実は、とみーと付き合っていました。
〇美和はたいちゃんと出会う前、実は、怜人と付き合っていました。。
〇七瀬は慎太郎をただの客だと思えなくなる前、実は、たいちゃんと付き合っていました。

狭い世間ではままあることですが、念のため知らせておこうと思います。

この本を読んでみてください係数 80/100

◆根本 宗子
1989年東京都生まれ。

作品 19歳で劇団・月刊 「根本宗子」 を旗揚げ。以降、劇団公演ではすべての作品の作、演出を手掛ける。2022年には、初の小説となる 「今、出来る、精一杯。」 (小学館) を上梓。舞台 「もっと超越した所へ。」 (2015年上演) を原作とした同名映画の脚本を担当した。本作は、自身による書下ろし小説版となる。

関連記事

『逃亡刑事』(中山七里)_書評という名の読書感想文

『逃亡刑事』中山 七里 PHP文芸文庫 2020年7月2日第1刷 単独で麻薬密売ル

記事を読む

『マークスの山』(高村薫)_書評という名の読書感想文

『マークスの山』高村 薫  早川書房 1993年3月31日初版 @1,800 高村薫が好き

記事を読む

『彼女がその名を知らない鳥たち』(沼田まほかる)_書評という名の読書感想文

『彼女がその名を知らない鳥たち』沼田 まほかる 幻冬舎文庫 2009年10月10日初版 8年前

記事を読む

『岬』(中上健次)_書評という名の読書感想文

『岬』中上 健次 文春文庫 1978年12月25日第一刷 昭和21年(1946年)8月2日、

記事を読む

『また次の春へ』(重松清)_書評という名の読書感想文

『また次の春へ』重松 清 文春文庫 2016年3月10日第一刷 終わりから、始まる。厄災で断ち切

記事を読む

『物語が、始まる』(川上弘美)_書評という名の読書感想文

『物語が、始まる』川上 弘美 中公文庫 2012年4月20日9刷 いつもの暮らしの

記事を読む

『万引き家族』(是枝裕和)_書評という名の読書感想文

『万引き家族』是枝 裕和 宝島社 2018年6月11日第一刷 「犯罪」 でしか つな

記事を読む

『マタタビ潔子の猫魂』(朱野帰子)_派遣OL28歳の怒りが爆発するとき

『マタタビ潔子の猫魂』朱野 帰子 角川文庫 2019年12月25日初版 地味で無口

記事を読む

『緑の我が家』(小野不由美)_書評という名の読書感想文

『緑の我が家』小野 不由美 角川文庫 2022年10月25日初版発行 物語の冒頭はこ

記事を読む

『アポロンの嘲笑』(中山七里)_書評という名の読書感想文

『アポロンの嘲笑』中山 七里 集英社文庫 2022年6月6日第7刷 東日本大震災直

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『アトムの心臓 「ディア・ファミリー」 23年間の記録』(清武英利)_書評という名の読書感想文

『アトムの心臓 「ディア・ファミリー」 23年間の記録』清武 英利 

『メイド・イン京都』(藤岡陽子)_書評という名の読書感想文

『メイド・イン京都』藤岡 陽子 朝日文庫 2024年4月30日 第1

『あいにくあんたのためじゃない』(柚木麻子)_書評という名の読書感想文

『あいにくあんたのためじゃない』柚木 麻子 新潮社 2024年3月2

『執着者』(櫛木理宇)_書評という名の読書感想文

『執着者』櫛木 理宇 創元推理文庫 2024年1月12日 初版 

『オーブランの少女』(深緑野分)_書評という名の読書感想文

『オーブランの少女』深緑 野分 創元推理文庫 2019年6月21日

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑