『逃亡刑事』(中山七里)_書評という名の読書感想文

『逃亡刑事』中山 七里 PHP文芸文庫 2020年7月2日第1刷

逃亡刑事

単独で麻薬密売ルートを探っていた刑事が銃殺された。千葉県警刑事部捜査一課の高頭班が捜査にあたるが、事件の真相を知った警部・高頭冴子は真犯人に陥れられ、警官殺しの濡れ衣を着せられる。自分の無実を証明できるのは、事件の目撃者である八歳の少年のみ。少年ともども警察組織に追われることになった冴子が逃げ込んだ場所とは!? そして彼女に反撃の手段はあるのか!? 息をもつかせぬノンストップ・ミステリー。(PHP文芸文庫)

主人公の高頭冴子は、千葉県警刑事部捜査一課所属の警部である。三十二歳独身。身長百八十センチの武闘派。男勝りの体格と豪腕ぶりで、周囲から苦手意識を持たれている。女性らしさのかけらもなく、無駄に美人顔!である。登場するとすぐに、缶コーヒーを手のひらで豪快に潰して、虚勢を張るヤクザを萎えさせ、怒りにまかせて自身の机を蹴り上げ、積み重ねられた未決書類に雪崩を起こさせて部下を怯えさせる。そんな荒っぽい行動をする冴子であるが、正義感が強く有能だ。率いる班は機動力に優れ、高い検挙率を誇っている。

冴子たちは、薬物銃器対策課に所属する生田忠幸巡査部長が、閉店したカーディーラーのショールームで何者かに殺されるという事件を捜査することになる。有能で秘密主義だったという生田が探っていた麻薬供給ルートについて調べようとした矢先に、事件の目撃者が現れる。入院中の母親に会いたくて、暴力的な職員のいる児童養護施設を脱走してきた八歳の少年御堂猛だった。

猛の証言で、冴子は意外な人物が事件に関わっていることを知る。腹心の部下にのみ事情を打ち明け、一人対峙しようとする冴子だが、犯人に陥れられ、生田巡査部長殺しの罪を着せられてしまう。目撃者である猛の命を守り、真犯人を明らかにして汚名を晴らすため、逃亡の旅に出ることになるが・・・・・・・。(解説より)

千葉県警捜査一課の警部・高頭冴子は、警官殺しの犯人として、自らが所属する警察組織に追われることになります。それは明らかに、真犯人を隠匿するがための “冤罪” でした。ところが、それを証明する手立てがありません。

冴子は絶体絶命の窮地に立たされます。しかし、彼女はなぜ、逃亡してまで身の潔白を証明しなければならなかったのでしょう。しかも唯一の目撃者、御堂猛を道連れにして。

生田巡査部長殺しの捜査を命じられたはずの冴子が、逆に犯人にされてしまう状況とは? 事件の裏に、何があったのか。

核心は、敢えて伏せてあります。

【ヒント】
少年は、とんでもないものを目撃しています。下手をすれば千葉県警が根こそぎ吹っ飛ぶような。気付くと冴子は、県警内部のほぼ全員を敵に回しています。

この本を読んでみてください係数 80/100

逃亡刑事

◆中山 七里
1961年岐阜県生まれ。
花園大学文学部国文科卒業。

作品 「切り裂きジャックの告白」「七色の毒」「さよならドビュッシー」「闘う君の唄を」「嗤う淑女」「魔女は甦る」「悪徳の輪舞曲(ロンド)」「連続殺人鬼カエル男」他多数

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