『一億円のさようなら』(白石一文)_書評という名の読書感想文

『一億円のさようなら』白石 一文 徳間書店 2018年7月31日初刷


一億円のさようなら (文芸書)

大きな文字で、一億円のさようなら 白石一文 - とあります。それを取り囲むようにして、

連れ添って20年。発覚した妻の巨額隠し資産。続々と明らかになる家族のヒミツ。爆発事故に端を発する化学メーカーの社内抗争。

俺はもう家族も会社も信じない

加能鉄平は妻・夏代の驚きの秘密を知る。いまから30年前、夏代は伯母の巨額の遺産を相続、そしてそれは今日まで手つかずのまま無利息口座に預けられているというのだ。結婚して20年。なぜ妻はひた隠しにしていたのか。そこから日常が静かに狂いはじめていく。もう誰も信じられない - 。鉄平はひとつの決断をする。人生を取り戻すための大きな決断を。夫婦はしょせん他人か? お金とは? 仕事とは? めくるめく人間模様を描く、直木賞作家・白石一文、文句なしの最高傑作!

とあり、裏へ回ると、

「この2年間、ぼくはこの作品をおもしろくすることだけ考えてきた。これで直木賞を取りたかった」(著者)
「夫婦、男女、家族。ひとは複数の顔を持ち、さまざまな思いを胸に秘めている。ゆえに人生は複雑だ。白石一文はその複雑さを熱気と色気たっぷりに描き出した。絶え間ない、ハラハラドキドキ。これが小説です! 」(崔鎬吉・担当編集者)

とあります。重ねて太字で、直木賞作家・白石一文、文句なしの最高傑作!  とあり、(これだけでもどうかと思うのですが)  さらに背表紙に、

これは一体全体どういうことなのか? 十年も前の出来事とあって、当時の夏代の様子や言動をつぶさに思い出せはしないが、夫の事実上の解雇には、彼女も自分自身のことのように憤慨し、また落胆していたように思う。購入寸前だったマイホームが夢と消えたことにも鉄平同様にショックを隠しきれないふうだった。夫婦であるかぎり当然過ぎる反応だろうが、しかし実際はその陰で二億円もの大金を右から左に動かしていたとなると、これはもうミステリーというより怪談のような趣きである。

と本文からの一節が紹介され、最後に、いまを生き抜く大人たちに贈る 極上娯楽小説 - とあります。

※これだけあればおおよそ想像できるのですが、敢えて下手な説明をすると、物語はこんな感じで語られていきます。

思いもかけない大金を持ちながら、それを一切口にせず、折々に家族が経済的な苦境に立たされるも 「それは無いものとして」 使おうとせず、ひたすら隠し続けた妻がおり、それに夫がブチ切れた・・・・・・・

もしもあなたの妻や家族が、知らないうちに、あなたが思う妻や家族でなくなっていたとしたらどうでしょう?

大学生になったばかりの息子は同棲し、看護学校に通う娘が妊娠していると聞かされます。そして何より、いまさらに妻の相続した財産が48億円もあると知らされたとしたら? ・・・・・・・ どうでしょう。

 

この本を読んでみてください係数  85/100


一億円のさようなら (文芸書)

◆白石 一文
1958年福岡県福岡市生まれ。
早稲田大学政治経済学部卒業。

作品 「一瞬の光」「不自由な心」「すぐそばの彼方」「僕のなかの壊れていない部分」「心に龍をちりばめて」「ほかならぬ人へ」「愛なんて嘘」「翼」「火口のふたり」他多数

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