『カラスは言った』(渡辺優)_書評という名の読書感想文
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『カラスは言った』(渡辺優), 作家別(わ行), 書評(か行), 渡辺優
『カラスは言った』渡辺 優 中公文庫 2025年11月25日 初版発行
ほんタメ文学賞 【あかりん部門】 2022年下半期 大賞 待望の文庫化!

「カラス、僕の部屋の窓に飛んで来てくれてありがとう」
突然、カラスが言った。「横山さん、第一森林線が突破されました。至急連絡をください」 僕は横山ではなく、森林線も知らない。職場と家の往復だった日常に迷い込んだカラスに誘導され家を出ると、《ズッキーニ》 なる配信者に追われ、仙台から名古屋までフェリーでの逃避行を余儀なくされる。情報をもつ鳥と何もない僕。旅の果てで見つけたものは? (中公文庫)
カラスはカラスなのですが、この物語に登場するカラスはなんと人の言葉を話します。SFチックな展開に、最初何が始まるのかとわくわくもしましたが、読むうち、どうやらそういうことではないらしいというのがわかってきます。問題は、そこではないんだと。喋るカラスによって引き起こされた、「僕」 が置かれた状況の方なんだと。
とりあえず賞はとっている (とりあえずは失礼か!? & こんな賞は初めて知りました) のですから、 特筆して褒めるべきところがあるのでしょうが、どこがどうで評判なのか、正直私にはよくわかりません。「僕」 に、うまく感情移入することができません。
但し - 、世間の評価は違います。
想像以上にめっちゃ良い小説だった。脱力系の主人公と、しゃべるカラスが織りなすちょっと近未来感のある不思議な世界観。かと思えば、ゆるっと冒険譚が始まったり、緊迫した状況になったり、ドライヴ感もある。主人公がだんだんと殻を破っていく変化にもぐっとくるものがあった。思想が違えどお互いを大切に想うことはできるし、必死に理解しようと努める姿、どうしても許せなくて反発する姿、どれも素敵だった。今年読んだ中でも指折りの素晴らしい小説だった。知名度低そうなのが本当にもったいないくらい、推したい。(読書メーター “Kanako“ さんの投稿より )
読み手が変わると、こんなに感想も変わります。買ってよかったのは表紙の絵だけだった私とは大違い。情けなくはありますが、持って生まれた 「感性」 と 「読解力」 の差だということでしょう。あなたも試しに読んでみてください。
この本を読んでみてください係数 80/100

◆渡辺 優
1987年宮城県仙台市生まれ。宮城学院女子大学国際文化学科卒業。
作品 2015年 「ラメルノエリキサ」 で第28回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。他に「地下にうごめく星」「自由なサメと人間たちの夢」「女王様の電話番」「クラゲ・アイランドの夜明け」 など
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