『ツナグ/想い人の心得』(辻村深月)_書評という名の読書感想文
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『ツナグ/想い人の心得』(辻村深月), 作家別(た行), 書評(た行), 辻村深月
『ツナグ/想い人の心得』辻村 深月 新潮文庫 2024年11月15日 6刷
心の奥から涙があふれる。シリーズ130万部突破! 大ベストセラー待望の続編。

僕が使者 (ツナグ) だと打ち明けようか - 。死者との面会を叶える役目を祖母から受け継いで七年目。渋谷歩美は会社員として働きながら、使者の務めも続けていた。「代理」 で頼みに来た若手俳優、歴史の資料でしか接したことのない相手を指名する元教員、亡くした娘を思う二人の母親。切実な思いを抱える依頼人に応える歩美だったが、初めて迷いが訪れて・・・・・・・。心揺さぶるベストセラー、待望の続編! (新潮文庫)
死んでしまった人のなかで、もう一度会いたいと思う人が、あなたにはいますか? 一人だけの、一度きりのチャンスです。但し、あなたがいくら望んでも、死んだ相手がOKしなければ、その願いは叶いません。死んだ相手にとってもチャンスは一度で、あなたの (会いたいと願う) 気持ちを如何に伝えるかが肝要です。
(目次)
プロポーズの心得
歴史研究の心得
母の心得
一人娘の心得
想い人の心得
死んだ人間と生きた人間を会わせる、その重要な役目を担うのが使者=ツナグと呼ばれる人たちで、「ツナグ」 は、依頼人からの連絡を受け、依頼人が会いたいと希望する死者に交渉する。そこで死者の承諾を得て初めて、面会の段取りを整えるのだ。
とはいえ、希望すれば誰もが依頼人になれるわけではない。何度電話しても繋がらない人がいる一方で、本当に必要な人には、ちゃんと 「ツナグ」 との縁がやってくる。要するに、それは巡り合わせなのである。
その 「ツナグ」 の役割は、由緒ある占いの家系である秋山家で代々引き継がれてきたのだが、現在その仕事を託されているのは、弱冠十七歳にして、祖母のアイ子から突然の引き継ぎを受けた高校生の歩美 (あゆみ) である。当然ながら、この特殊な能力を持っている以外はごくふつうの若者だから、戸惑いも迷いも多い。
この 「ツナグ」 という小説は、従って、一話一話のヒーローやヒロインはそれぞれに存在するけれど、小説全体としては、歩美を主人公とする一種の成長物語となっている。
そして、そのきわめて独創的なファンタジーが、いわゆる特殊設定ものの範疇に止まらず、現実の世界で悩み、苦しみ、もがく人たちの日常生活と違和感なく融合しているところが、まさに辻村氏の真骨頂といえるだろう。(解説より)
※五年前、不慮の事故で幼い娘を亡くした両親が依頼人の 「母の心得」 が強く印象に残りました。この作品にはもうひとつ、母と娘の別の話もあるのですが、親が自分より早く我が子を亡くす悲しみはたとえようもありません。切なく、胸が詰まって痛くなります。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆辻村 深月
1980年山梨県笛吹市生まれ。
千葉大学教育学部卒業。
作品 「冷たい校舎の時は止まる」「太陽の坐る場所」「鍵のない夢を見る」「朝が来る」「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」「かがみの孤城」「ツナグ」「傲慢と善良」「琥珀の夏」「闇祓 Yami-Hara」他多数
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