『グランドシャトー』(高殿円)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2024/01/05
『グランドシャトー』(高殿円), 作家別(た行), 書評(か行), 高殿円
『グランドシャトー』高殿 円 文春文庫 2023年7月25日第2刷

Osaka Book One Project 2023年 第11回 大阪ほんま本大賞受賞作
高度経済成長期、義父との結婚を迫られたルーはキャバレー 「グランドシャトー」 のNo.1ホステス真珠の家に転がり込む。姉妹のように仲睦まじく暮らすも、莫大な金を稼ぎながら下町の長屋に居続ける真珠をルーは不審に思い過去を探るが - 。“男の作った城“ キャバレーが街と女の生き様を照らし出す、これは “ひかり“ の物語。(文春文庫)
読書メーターにはこんな感想が載っています。
「あんたらまだやるつもりなんですか。もうばあさんやないですか! 」 「誰がばあさんや! うちはまだ七十二や! 」 キャバレー 「グランドシャトー」 の現役ホステス、ルー。巻頭のコレにやられた。この勢いがたまらない、どんな人生を歩んできたのか? 1960年から始まるルーの物語は大阪京橋のキャバレーを軸にNo.1ホステス真珠との女の物語。昭和から平成への時代の流れ、栄枯盛衰。生きていれば悲しみがある、それでも前を向いて生きる姿に元気をもらった。大阪やこの時代を知っていたらもっと楽しめただろうな。(ナミのママさんより)
大阪の町はよく知りません。京橋がどこにあるかも、当時のキャバレーがどんなふうだったかも知りません。戦後の混乱期にはまだ生まれていませんでしたし、その後の復興の様子も、よそで生まれ育った私は知るはずもありません。
ただ同じ関西人として、物語に色濃く漂う空気や雑多な匂い、人と人との絶妙な “間合い“ のあれやこれやは、手に取るようにわかります。そして、ルーの勝気と元気の良さも。たとえカラ元気であったとしても、それがルーが決めた自分の生き方だったとしたら、誰が文句を言えたでしょう。
※突然ですが - チキンラーメンが好きでした。今も無性に食べたくなる時があります。麺をどんぶりに入れ、卵を一つ割り入れて、熱いお湯を注ぎます。ふたを開けると、卵白が全体に薄く膜を張っています。黄身を潰し、麺にまぶせながら啜るのが好きでした。ルーと真珠がいた時代、麺は一袋三十五円。庶民にはなかなか手の出ない贅沢な食べ物でした。そんな話が出てきます。
Osaka Book One Project とは? ・・・・・ 大阪の本屋と問屋が力を併せて、ほんまに読んで欲しい1冊を投票で選びました。Osaka Book One Project は、この本の販売の収益の一部で、大阪の子供たちに本を寄贈するプロジェクトです。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆高殿 円
1976年兵庫県神戸市生まれ。
武庫川女子大学文学部卒業。
作品 2000年 「マグダミリア 三つの星」 で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞してデビュー。他に 「トッカン 特別国税徴収官」「上流階級 富久丸百貨店外商部」「剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎」など多数
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