『EPITAPH東京』(恩田陸)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
『EPITAPH東京』(恩田陸), 作家別(あ行), 恩田陸, 書評(あ行)
『EPITAPH東京』恩田 陸 朝日文庫 2018年4月30日第一刷
東日本大震災を経て、刻々と変貌していく《東京》を舞台にした戯曲 『エピタフ東京』 をかきあぐねている “筆者K” は、吸血鬼だと名乗る吉屋と出会う。彼は 「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」 と囁きかけるのだが・・・・・・・。スピンオフ小説 「悪い春」を特別収録。(朝日文庫)
帯に - 将門の首塚、天皇陵・・・・・・・東京の死者の痕跡をたどる筆者の日常が描かれる「Piece」。徐々に完成に向かう戯曲の内容が明かされる作中作「エピタフ東京」。吉屋の視点から語られる「drawing」。 三つの物語がたどり着く、その先にあるものとは - 。
ジャンルを越境していく、恩田ワールドの真骨頂!! とあります。
これは大都市「東京」の、そこで逝き去った数多の死者の霊を思い、如何なる墓碑銘が妥当であるかを探る、いわば歴史探訪の物語?
東日本大震災に端を発し、やがて来る2020年「東京オリンピック」に思いを馳せて憂う思索の連なりは、それが何だというのでしょう。 吸血鬼? 何がために女たちは殺人を繰り返すのか?
さっぱりわかりません。
売れるとこんなものでも本になる。普通は出せないし、出させない。恩田さん、いくらなんでも、これは 「越境」 し過ぎではないでしょうか。
この本を読んでみてください係数 75/100
◆恩田 陸
1964年青森県青森市生まれ。宮城県仙台市出身。
早稲田大学教育学部卒業。
作品 「六番目の小夜子」「夜のピクニック」「ユージニア」「中庭の出来事」「木洩れ日に泳ぐ魚」「蜜蜂と遠雷」他多数
関連記事
-
-
『ボダ子』(赤松利市)_書評という名の読書感想文
『ボダ子』赤松 利市 新潮社 2019年4月20日発行 ボダ子 あらゆる共感を拒絶する
-
-
『朝が来る』(辻村深月)_書評という名の読書感想文
『朝が来る』辻村 深月 文春文庫 2018年9月10日第一刷 朝が来る (文春文庫)
-
-
『インストール』(綿矢りさ)_書評という名の読書感想文
『インストール』綿矢 りさ 河出書房新社 2001年11月20日初版 インストール &n
-
-
『夏の陰』(岩井圭也)_書評という名の読書感想文
『夏の陰』岩井 圭也 角川文庫 2022年4月25日初版 出会ってはならなかった二人
-
-
『逢魔が時に会いましょう』(荻原浩)_書評という名の読書感想文
『逢魔が時に会いましょう』荻原 浩 集英社文庫 2018年11月7日第2刷 逢魔が時に会いま
-
-
『冷蔵庫を抱きしめて』(荻原浩)_書評という名の読書感想文
『冷蔵庫を抱きしめて』荻原 浩 新潮文庫 2017年10月1日発行 冷蔵庫を抱きしめて (新潮
-
-
『輪 RINKAI 廻』(明野照葉)_書評という名の読書感想文
『輪 RINKAI 廻』明野 照葉 文春文庫 2003年11月10日第1刷 輪(RINKAI
-
-
『あの家に暮らす四人の女』(三浦しおん)_書評という名の読書感想文
『あの家に暮らす四人の女』三浦 しおん 中公文庫 2018年9月15日7刷 あの家に暮らす四人
-
-
『残された者たち』(小野正嗣)_書評という名の読書感想文
『残された者たち』小野 正嗣 集英社文庫 2015年5月25日第一刷 残された者たち (集英社
-
-
『銃とチョコレート 』(乙一)_書評という名の読書感想文
『銃とチョコレート』 乙一 講談社文庫 2016年7月15日第一刷 銃とチョコレート (講談社