『私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。』(日向奈くらら)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
最終更新日:2024/01/10
『私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。』(日向奈くらら), 作家別(は行), 日向奈くらら, 書評(わ行)
『私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。』日向奈 くらら 角川ホラー文庫 2017年11月25日初版
教室で起こる猟奇殺人。五感を恐怖で震わせる衝撃のホラーサスペンス登場!
二年C組の問題の多さには、呆れますね - 教頭の言葉が突き刺さる。また私のクラスの生徒が行方不明になった。これでもう四人だ。私はその失踪にあの子が関係しているのではないかと恐れている。宮田知江。ある時から急に暗い目をするようになった女生徒だ。私は彼女の目が恐い。でもそんなことは、これから始まる惨劇に比べれば些細なこと。なぜなら私は、夜の教室で生徒24人が死ぬ光景を目にすることになるのだから・・・・・・・。
イチゴミルク好きという著者が描く、一通のメールから始まる死の連鎖。
「リング」 「らせん」 の鈴木光司氏推薦 -「この恐ろしさは、ねっとりしている」
新しいホラーサスペンス 「嫌ホラー」 誕生。(アマゾン「内容紹介」より)
いかにも目を引くタイトルですが、読んだ感想はいかがでしょう? 途中で投げ出したりは、しなかったでしょうか。
- いやいや、読みましたとも。終わりまできちんと読みました。何せ一晩で24人もの人間が死んでしまうのですから。しかも原因不明で。犯人もわからずに。ホラー好きでなくても、とりあえず読んでみたいと思うではないですか。
何がどうなってそんなことになったのか。本当にそんなことが起こるのか。もしや、そこには想像もつかないトリックが仕組まれており、人を人とも思わない、無類の殺人鬼が登場したりするのではないかと - 思うではないですか。
で、どうだったのよ?
- と問われると、ちょっと返事に詰まります。読み応えがなかったとは言いません。それはそれなりに。で、結果は 「なるほどそういうことでしたか」 といったところ。
「嫌ホラー」 というのがイマイチわからないのですが、読むとサイコっぽくもあり、バイオレンスな感じもします。この手の話に望むのは、ひとえに “いかにリアルか” という点に尽きると思うのですが、そうかどうかはぜひご自身で味わってみてください。
(余談)
その1) 非常に珍しいことですが、本文には少なくとも二箇所の「誤植」があります。それとは別に、最後の最後、死んだはずの刑事がまたぴんぴんとして再登場してきます。
これって、どうよ? 中々に、こんな粗い作りの本はみたことがありません。
その2) 紹介にある 「イチゴミルク好き」 って何ですか?
何を思って著者が書き、それをまた紹介文に載せてしまう出版社の意図がわかりません。
この本を読んでみてください係数 75/100
◆日向奈 くらら
埼玉県在住。イチゴミルク好き。(あとは不明)
関連記事
-
-
『主よ、永遠の休息を』(誉田哲也)_せめても、祈らずにはいられない。
『主よ、永遠の休息を』誉田 哲也 中公文庫 2019年12月25日5刷 「名無し少
-
-
『雪が降る』(藤原伊織)_書評という名の読書感想文
『雪が降る』藤原 伊織 角川文庫 2021年12月25日初版 〈没後15年記念〉
-
-
『笑え、シャイロック』(中山七里)_書評という名の読書感想文
『笑え、シャイロック』中山 七里 角川文庫 2020年10月25日初版 入行三年目
-
-
『いやしい鳥』(藤野可織)_書評という名の読書感想文
『いやしい鳥』藤野 可織 河出文庫 2018年12月20日初版 ピッピは死んだ。い
-
-
『スメル男 (新装版)』(原田宗典)_書評という名の読書感想文
『スメル男 (新装版)』原田 宗典 講談社文庫 2021年1月15日第1刷 「腐っ
-
-
『ひゃくはち』(早見和真)_書評という名の読書感想文
『ひゃくはち』早見 和真 集英社文庫 2011年6月30日第一刷 地方への転勤辞令が出た青野雅人は
-
-
『オーブランの少女』(深緑野分)_書評という名の読書感想文
『オーブランの少女』深緑 野分 創元推理文庫 2019年6月21日 3刷 互いの痛みがわたし
-
-
『カエルの楽園』(百田尚樹)_書評という名の読書感想文
『カエルの楽園』百田 尚樹 新潮文庫 2017年9月1日発行 平和な地を求め旅に出たアマガエルのソ
-
-
『絶叫』(葉真中顕)_書評という名の読書感想文
『絶叫』葉真中 顕 光文社文庫 2019年3月5日第7刷 - 私を棄てたこの世界を騙
-
-
『さいはての彼女』(原田マハ)_書評という名の読書感想文
『さいはての彼女』原田 マハ 角川文庫 2013年1月25日初版 25歳で起業した敏腕若手女性