『1R 1分34秒』(町屋良平)_書評という名の読書感想文

『1R 1分34秒』町屋 良平 新潮社 2019年1月30日発行

第160回芥川賞受賞 1R1分34秒

デビュー戦を初回KOで飾ってから三敗一分。当ったかもしれないパンチ、これをしておけば勝てたかもしれない練習。考えすぎてばかりいる21歳プロボクサーのぼくは自分の弱さに、その人生に厭きていた。長年のトレーナーにも見捨てられ、変わり者のウメキチとの練習の日々が、ぼくを、その心身を、世界を変えていく--。(新潮社)

第160回芥川賞受賞作

21歳の 「ぼく」 の、ボクシングの話。

ボクシングの事ばかりが書いてあります。

彼はれっきとしたプロボクサーで、デビュー戦こそ初回KOという華々しい勝利を飾ったものの、その後がいけません。負けが込み、次戦に向けたモチベーションは下がる一方で、あれやこれやと、考えてばかりいます。

考えて、考えて - 、そのうち、夢に出てくる対戦相手を “親友” と思うようになるのは、

思うに、

自覚があるかどうかはともかくも、おそらく彼は、本当にしたくてボクシングをしているわけではないのだろうと。ボクシングを介し、たぶん彼は、別の何かを掴み取ろうとしています。

先輩ボクサーのウメキチが新しく彼のトレーナーになると、タメ口を利き、ウメキチの言うことは聞こうともしません。

ところが、それをウメキチは逆手に取り、次第次第に、弱虫だった彼を真のファイターへと変化させてゆきます。

※ボクシングなんて観たことないし興味もない - という人にはちょっとしんどいかもしれません。ある時期、何かのスポーツに集中的に取り組んだ経験があるというなら、「ぼく」 が言わんとする “ニュアンス” はわかるはずです。伝えたいのは、「ボクシング」 のことではありません。

この本を読んでよかったと思う方は、ぜひ、著者のデビュー作 『青が破れる』 を読んでみてください。本作とよく似たシチュエーション、よく似た人物らが登場します。

この本を読んでみてください係数  85/100

第160回芥川賞受賞 1R1分34秒

◆町屋 良平
1983年東京都生まれ。
武蔵大学人文学部卒業。

作品 「青が破れる」「しき」「ぼくはきっとやさしい」

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