『父からの手紙』(小杉健治)_書評という名の読書感想文

『父からの手紙』小杉 健治 光文社文庫 2018年12月20日35刷

父からの手紙 (光文社文庫)

家族を捨て、阿久津伸吉は失踪した。しかし、残された子供、麻美子と伸吾の元には、誕生日ごとに父からの手紙が届いた。十年が経ち、結婚を控えた麻美子を不幸が襲う。婚約者が死体で発見され、弟が容疑者として逮捕されたのだ。姉弟の直面した危機に、隠された父の驚くべき真実が明かされてゆく。完璧なミステリー仕立ての中に、人と人との強い絆を描く感動作! (光文社文庫)

50万部突破! 」にまんまと騙されました。「あなたはきっと涙が止まらない」 とあり、売れているから大丈夫だろうと、買った自分が情けなくなります。何度もあったのです。読んでその通りだったことなど滅多にありません。

この小説を読む前に、私は吉田修一の 『悪人』 という小説を読んでいました。それもあるのでしょうか、この 『父からの手紙』 という作品がやけに薄っぺらいものに感じてなりません。

登場する人物らはおしなべて凡庸で、誰もが思うであろう心の動きがそのままにストレートに書いてあるのに、そこに何を感じろと? 一々の描写が丹念に過ぎるのを不要に思うのは、私ばかりのことなのでしょうか?

本で読むよりドラマで観た方がいい - そう思うにつけ、改めて小杉健治という作家の来歴を確認すると、なんと、昔テレビでよく見た 「火曜サスペンス劇場」 をあまた手掛けた人ではないですか!?

道理で、大味ながらも内容自体は纏まっており、多くの謎を含んで飽きさせません。但し、感動は得てして書かれた文章ではなくその行間にこそあります。言葉だけでは、そう易々と泣けるものではありません。

この本を読んでみてください係数  75/100

父からの手紙 (光文社文庫)

  

◆小杉 健治
1947年東京都墨田区生まれ。
東京都立葛飾野高等学校を経て、コンピュータ専門学校を卒業後、プログラマーとなり18年間勤務。

作品 「原島弁護士の処置」「絆」「土俵を走る殺意」「残照」「正義を測れ」他多数

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