『きみの町で』(重松清)_書評という名の読書感想文

『きみの町で』重松 清 新潮文庫 2019年7月1日発行

きみの町で (新潮文庫)

あの町と、この町、あの時と、いまは、つながっている。

初めての人生の 「なぜ? 」 と出会ったとき - きみなら、どうする?
一緒に立ち止まって考え、並んで歩いてゆく、8つの小さな物語。

失ったもの、忘れないこと、生きること。この世界を、ずんずん歩いてゆくために。

累計20万部、生きることをまっすぐに考える絵本 「こども哲学」 から生まれた物語と、新作 「あの町で」 を収録。

「小さな小さなお話を、ミロコマチコさんの絵の助けを借りて、一冊の本に編んでもらいました。すごくうれしいです。小さなお話でも、深い問いかけを込めたつもりです。きみの町と、きみに思いを寄せてほしい遠くの町のお話とを組み合わせました。ゆっくり読んでいただければ、と願っています。- 重松清」(アマゾン内容紹介より)

小学校の高学年に向けた読み聞かせには最適の本ではないかと。ネットで見ると、そんなふうに書いてあります。

では、”大のおとな” には不要かというと、そういうことではないような。子どもに対する思いとは違う意味で、おとなであるわれわれにも読んでもらいたいと。読んでおくべき本だと、そう言われている気がします。

もしも、真っ向からこんなことを問いかけられたとしたら、おとなになった今のあなたは何と答えるのでしょう? 真面目になって考えてみてください。

あなたは、”生きる” ということに今も真剣に向き合えていますか? 何もかもが曖昧になり、惰性で生きてはいませんか? ことの善悪に関し、おとななあなたは、十分な見識があると胸を張って言え、それを態度で示していると言えるでしょうか。

善いと思ってしたことが、かえって相手には迷惑だった。そんなことがありはしないでしょうか。自分がいくら善いと思ってしたことも、された相手にしてみれば余計なことでしかなかったような、そんな経験がきっとあるはずです。

相手のことを思いやるのはいい。けれど、それをどう態度で示すのかというと、ことさら正解は難しくなります。間違うと相手に不信がられ、逆に重い負担を強いることにもなりかねません。

登場してくる子供らは、自らに問いかけます。

・よいこととわるいことって、なに?
・きもちって、なに?
・知るって、なに?
・いっしょにいきるって、なに?
・自分って、なに?
・自由って、なに?
・人生って、なに?

もしもあなたの子どもがあなたにそう問いかけたとしたら、あなたはどんなふうに説明して聞かせるのでしょう? うまく説明してみせられるのでしょうか? というか、あなた自身に向けられた問いだったとしたら、それぞれに、自信をもって答えることができるのでしょうか。

大切な友だちや家族を、突然失ってしまったきみ。人を好きになる、という初めての気持ちに、とまどっているきみ。「仲良しグループ」 の陰口におびえてしまうきみ。「面白い奴」 を演じていて、ほんとうの自分がわからなくなったきみ--。正解のない問いや、うまくいかないことにぶつかり、悩むときもある。でも、生きることを好きでいてほしい。作家が少年少女のためにつづった小さな物語集。(新潮社)

この本を読んでみてください係数 80/100

きみの町で (新潮文庫)

◆重松 清
1963年岡山県津山市生まれ。
早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。

作品「定年ゴジラ」「カカシの夏休み」「ビタミンF」「十字架」「流星ワゴン」「疾走」「カシオペアの丘で」「ナイフ」「星のかけら」「また次の春へ」「ゼツメツ少年」他多数

関連記事

『幻年時代』(坂口恭平)_書評という名の読書感想文

『幻年時代』坂口 恭平 幻冬舎文庫 2016年12月10日初版 幻年時代 (幻冬舎文庫) 4

記事を読む

『盤上に散る』(塩田武士)_書評という名の読書感想文 

『盤上に散る』塩田 武士 講談社文庫 2019年1月16日第一刷 盤上に散る (講談社文庫)

記事を読む

『妻籠め』(佐藤洋二郎)_書評という名の読書感想文

『妻籠め』佐藤 洋二郎 小学館文庫 2018年10月10日初版 妻籠め (小学館文庫) 父を

記事を読む

『ここは私たちのいない場所』(白石一文)_あいつが死んで5時間後の世界

『ここは私たちのいない場所』白石 一文 新潮文庫 2019年9月1日発行 ここは私たちのいな

記事を読む

『グラニテ』(永井するみ)_書評という名の読書感想文

『グラニテ』永井 するみ 集英社文庫 2018年2月25日第一刷 グラニテ (集英社文庫)

記事を読む

『泡沫日記』(酒井順子)_書評という名の読書感想文

『泡沫日記』酒井 順子 集英社文庫 2016年6月30日第一刷 泡沫日記 (集英社文庫)

記事を読む

『きのうの影踏み』(辻村深月)_書評という名の読書感想文

『きのうの影踏み』辻村 深月 角川文庫 2018年8月25日初版 きのうの影踏み (角川文庫)

記事を読む

『君のいない町が白く染まる』(安倍雄太郎)_書評という名の読書感想文

『君のいない町が白く染まる』安倍 雄太郎 小学館文庫 2018年2月27日初版 君のいない町が

記事を読む

『この世にたやすい仕事はない』(津村記久子)_書評という名の読書感想文

『この世にたやすい仕事はない』津村 記久子 新潮文庫 2018年12月1日発行 この世にたや

記事を読む

『起終点駅/ターミナル』(桜木紫乃)_書評という名の読書感想文

『起終点駅/ターミナル』桜木 紫乃 小学館文庫 2015年3月11日初版 起終点駅(ターミナル

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

『死者のための音楽』(山白朝子)_書評という名の読書感想文

『死者のための音楽』山白 朝子 角川文庫 2013年11月25日初版

『騙る』(黒川博行)_書評という名の読書感想文

『騙る』黒川 博行 文藝春秋 2020年12月15日第1刷 騙

『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治)_書評という名の読書感想文

『ケーキの切れない非行少年たち』宮口 幸治 新潮新書 2020年9月

『ひとでちゃんに殺される』(片岡翔)_書評という名の読書感想文 

『ひとでちゃんに殺される』片岡 翔 新潮文庫 2021年2月1日発行

『藤色の記憶』(あさのあつこ)_書評という名の読書感想文

『藤色の記憶』あさの あつこ 角川文庫 2020年12月25日初版

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑