『僕はロボットごしの君に恋をする』(山田悠介)_幾つであろうと仕方ない。切ないものは切ない。

『僕はロボットごしの君に恋をする』山田 悠介 河出文庫 2020年4月30日初版

僕はロボットごしの君に恋をする (河出文庫)

あまりに切ない2人の恋の行方は?
ラストに驚愕必至の著者最高傑作、待望の文庫化! 文庫限定 「3年後の物語」 追加スピンオフでついに感動の完結!
(帯文より)

2060年、東京は3度目のオリンピックを控えており治安維持のために遠隔操作ロボットを使おうという政策がたてられた。この計画はAIロボットの研究所と警察庁が共同して行われるものであった。
主人公の 「大沢健」 はプロジェクトチームの一員である。オリンピック開催においてテロ予告を受けた会社の警護にあたる。その会社は健の初恋の人である 「天野咲」 が勤めており、今回の任務をきっかけに健は自分専用の遠隔操作ロボット 「翼」 を通して少しずつ咲との距離を縮めていく。そんな日々がしばらく続くが、オリンピック当日、事件は起きる。その後、予想外の事実が次々と明かされていく。

大沢健 (おおさわたける)
主人公。28歳。AIロボット研究所のプロジェクトメンバーの1人で咲の勤める会社の警護にあたる。小学生の頃、いじめられていたときに咲が兄の陽一郎とともに助けてくれたことをきっかけに彼女のことを好きになる。健が高校三年生のとき、事故に遭い若くして亡くなった陽一郎の両親の葬儀に出席する。その時健の前で泣き出した咲を見て 「彼女を一生守ろう」 と決意する。ネガティブな性格で仕事でミスをしてしまうことが多いが、感情が豊かな優しい青年。何をやっても完璧な陽一郎に劣等感を抱いている。

天野咲 (あまのさき)
23歳。オリンピックのテロを予告されているアテナ社に勤めている。陽一郎の妹。スポーツの実績が高い大学を卒業しており、大学では陸上部に所属していた。幼い頃に両親を亡くしており、陽一郎に育てられてきたため2人はカップルのように仲が良い。(wikipedia参照)

途中まではそれなりに順調だったのですが、何だかだあり、挙句こんなことになります。

容疑者は大沢健二十八歳。AIロボット技術研究所の職員で人質を一名取って逃亡中。指名手配され各幹線道路での検問がはじまっている模様です

健は運転席に座りながら状況が呑みこめず呆然としていた。
僕はAIロボット技術研究所の職員でロボットを使って東京の治安維持に当たる極秘プロジェクトメンバーだ。東京オリンピックを狙ったテロを防ぐために特殊任務を与えられて活動してきた。
しかしついさっきテロが起きてしまった。しかも高価なロボットをまた破損させてしまった。
もちろんそれだけでも重大な過失だ。さらに職務規定を破り四号が警備する現場にやってきてしまった。それなりの重い罰は覚悟していたつもりだ。※四号:健専用ロボット 「翼」 のこと
それでも・・・・・・・ちょっと待て。僕がテロの犯人? 咲ちゃんを人質にして逃亡中!? 
どうしてそうなるんだ。しかも全国に指名手配されたという。運転席のモニターに映し出されたニュースでは健の顔写真までもがはっきりと放送されていた。(本文より)

健には、何のことだかさっぱりわかりません。わかるのは、自分はいま確かに追われている、ということ。しかも、あろうことか愛する咲を人質にして。

物語はどこへ向かっていくのでしょう? そしてこの先、健の咲に対する想いは成就するのでしょうか。 

前半、思いもかけず健の邪魔をするのは、相棒のロボット 「翼」 の存在です。後半では、思いもしない人物が、健の前に大きく立ちはだかることになります。

この本を読んでみてください係数 80/100

僕はロボットごしの君に恋をする (河出文庫)

◆山田 悠介
1981年東京都生まれ。
神奈川県の大和市立南林間中学校と平塚学園高等学校卒業。

作品 「リアル鬼ごっこ」「親指さがし」「ブレーキ」「名のないシシャ」「奥の奥の森の奥に、いる。」「貴族と奴隷」「天使が怪獣になる前に」他多数

関連記事

『ひとでちゃんに殺される』(片岡翔)_書評という名の読書感想文 

『ひとでちゃんに殺される』片岡 翔 新潮文庫 2021年2月1日発行 ひとでちゃんに殺される

記事を読む

『八月の青い蝶』(周防柳)_書評という名の読書感想文

『八月の青い蝶』周防 柳 集英社文庫 2016年5月25日第一刷 八月の青い蝶 (集英社文庫) 急

記事を読む

『ふたりの距離の概算』(米澤穂信)_書評という名の読書感想文

『ふたりの距離の概算』米澤 穂信 角川文庫 2012年6月25日初版 ふたりの距離の概算 (角

記事を読む

『リアル鬼ごっこ』(山田悠介)_書評という名の読書感想文

『リアル鬼ごっこ』山田 悠介 幻冬舎文庫 2015年4月1日75版 リアル鬼ごっこ (幻冬舎文

記事を読む

『王とサーカス』(米澤穂信)_書評という名の読書感想文

『王とサーカス』米澤 穂信 創元推理文庫 2018年8月31日初版 王とサーカス (創元推理文

記事を読む

『肩ごしの恋人』(唯川恵)_書評という名の読書感想文

『肩ごしの恋人』唯川 恵 集英社文庫 2004年10月25日第一刷 肩ごしの恋人 (集英社文庫

記事を読む

『火のないところに煙は』(芦沢央)_絶対に疑ってはいけない。

『火のないところに煙は』芦沢 央 新潮社 2019年1月25日8刷 火のないところに煙は

記事を読む

『満願』(米澤穂信)_書評という名の読書感想文

『満願』米澤 穂信 新潮社 2014年3月20日発行 満願 米澤穂信の『満願』をようやく

記事を読む

『学問』(山田詠美)_書評という名の読書感想文

『学問』山田 詠美 新潮文庫 2014年3月1日発行 学問 (新潮文庫)  

記事を読む

『走ル』(羽田圭介)_書評という名の読書感想文

『走ル』羽田 圭介 河出文庫 2010年11月20日初版 走ル (河出文庫)  

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『中尉』(古処誠二)_書評という名の読書感想文

『中尉』古処 誠二 角川文庫 2017年7月25日初版発行

『犬のかたちをしているもの』(高瀬隼子)_書評という名の読書感想文

『犬のかたちをしているもの』高瀬 隼子 集英社文庫 2022年9月1

『殺人者』(望月諒子)_書評という名の読書感想文

『殺人者』望月 諒子 新潮文庫 2022年11月1日発行

『緑の我が家』(小野不由美)_書評という名の読書感想文

『緑の我が家』小野 不由美 角川文庫 2022年10月25日初版発行

『あなたの涙は蜜の味|イヤミス傑作選』(宮部みゆき 辻村深月他)_書評という名の読書感想文

『あなたの涙は蜜の味|イヤミス傑作選』宮部みゆき 辻村深月他 PHP

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑