『間宵の母』(歌野晶午)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
『間宵の母』(歌野晶午), 作家別(あ行), 書評(ま行), 歌野晶午
『間宵の母』歌野 晶午 双葉文庫 2022年9月11日第1刷発行
恐怖のあまり笑いが込み上げる著者最恐のホラー・ミステリー!! ブックスタジオのバイヤーが選んだ 一気読み大賞第1位
小学三年生の詩穂と紗江子は親友同士だったが、紗江子の母の再婚相手である義父と詩穂の母が失踪、駆け落ちと見られていた。その日から、紗江子の母の精神状態は普通ではなくなる。詩穂も父親からDVを受けるようになり、児童養護施設に入れられてしまう。その後、二人は地獄のような人生を送ることになるのだが、実は驚くべき真実が隠されていた。得体の知れない恐怖が襲う、著者最恐のホラー・ミステリー! (双葉文庫)
さあ、読めるものなら読んでみろ、という感じ。いずれ悪夢は消え去り、いつしか話は現実世界へ戻るであろうと期待しつつ読み進めるも、いつになってもそんな気配は毛ほどもなくて、人を変え時を経て、この世の地獄は切れまなく続いていきます。
人が死に、人が不幸になります。果てしなく、陰に狂気が見え隠れします。
4つの章から成るこの作品、各章で語り手となる人物は異なるが、話の中心には間宵家の母子三代が据えられている。
数十年に及ぶ長い物語の引き金を引くのは、間宵紗江子の同級生である西崎詩穂だ。
問題は、あなたが読もうとするかどうかです。但し、”まっとうな” 何かを期待してはいけません。最後の最後まで、それは続きます。
人間の悪意と狂気と暴力性が好物なら絶対一読の価値あり。そして読後、タイトルに込められた意味に気づくと、ますます背筋が寒くなることだろう。
ああ、本当に嫌だ、嫌だ……..。(太字部分はwebサイト 「ダ・ヴィンチ」 より)
この本を読んでみてください係数 80/100
◆歌野 晶午
1961年千葉県生まれ。
東京農工大学農学部卒業。
作品 「長い家の殺人」「葉桜の季節に君を想うということ」「密室殺人ゲーム2.0」他多数
関連記事
-
-
『あなたの本当の人生は』(大島真寿美)_書評という名の読書感想文
『あなたの本当の人生は』大島 真寿美 文春文庫 2019年8月1日第2刷 あなたの本当の人生
-
-
『最悪』(奥田英朗)_書評という名の読書感想文
『最悪』奥田 英朗 講談社 1999年2月18日第一刷 最悪 (講談社文庫)  
-
-
『奴隷商人サラサ/生き人形が見た夢』(大石圭)_書評という名の読書感想文
『奴隷商人サラサ/生き人形が見た夢』大石 圭 光文社文庫 2019年2月20日初版 奴隷商人
-
-
『HEAVEN/萩原重化学工業連続殺人事件』(浦賀和宏)_書評という名の読書感想文
『HEAVEN/萩原重化学工業連続殺人事件』浦賀 和宏 幻冬舎文庫 2018年4月10日初版
-
-
『許されようとは思いません』(芦沢央)_書評という名の読書感想文
『許されようとは思いません』芦沢 央 新潮文庫 2019年6月1日発行 許されようとは思いま
-
-
『歩道橋シネマ』(恩田陸)_書評という名の読書感想文
『歩道橋シネマ』恩田 陸 新潮文庫 2022年4月1日発行 歩道橋シネマ(新潮文庫)
-
-
『田舎でロックンロール』(奥田英朗)_書評という名の読書感想文
『田舎でロックンロール』奥田 英朗 角川書店 2014年10月30日初版 田舎でロックンロール
-
-
『結婚』(井上荒野)_書評という名の読書感想文
『結婚』井上 荒野 角川文庫 2016年1月25日初版 結婚 (角川文庫)
-
-
『しゃもぬまの島』(上畠菜緒)_書評という名の読書感想文
『しゃもぬまの島』上畠 菜緒 集英社文庫 2022年2月25日第1刷 それは突然やっ
-
-
『そこへ行くな』(井上荒野)_書評という名の読書感想文
『そこへ行くな』井上 荒野 集英社文庫 2014年9月16日第2刷 そこへ行くな (集英社文