『ロスジェネの逆襲』(池井戸潤)_書評という名の読書感想文

公開日: : 最終更新日:2024/01/14 『ロスジェネの逆襲』(池井戸潤), 作家別(あ行), 書評(ら行), 池井戸潤

『ロスジェネの逆襲』 池井戸 潤  ダイヤモンド社 2012年6月28日第一刷

あの、半沢直樹シリーズ第3部作です。

半沢は大方の予想に反して、銀行の系列会社である東京セントラル証券への出向を命じられます。

セントラル証券は社歴が浅く、業績は鳴かず飛ばず、親会社である銀行から割り当てられる仕事に甘んじている状態でした。

そこへ突然、大型の買収案件の依頼が舞い込みます。

IT企業の雄、電脳雑技集団の平山社長直々にライバル企業東京スパイラルを買収するためにアドバイザーになってほしいというものでした。

もし契約が成立すれば、セントラルにも巨額の手数料が転がり込む、願ってもないビジネスチャンスです。

契約成立までの多難を感じつつも、半沢は部下にGOサインを出します。

ところが、仕事の初手の段階でなんと親会社の東京中央銀行から横槍が入ります。

あろうことか、親会社が子会社にきた案件を横取りしてアドバイザー契約をさっさと交わしてしまったのです。

半沢の怒りは沸騰します。

このままでおくものかと、策を練り調査に乗り出します。

すると、この企業買収には裏で絡まるいくつもの複雑な事情が存在していることが徐々に明らかになってくるではありませんか。

電脳の社長が直にセントラルを訪ねた真の狙いは別にあり、最適のパートナーとしてセントラルが選ばれたわけではなかったのです。

・・・・・・・・・・・

相変わらず面白く、一気に読めます。

バブル世代とその後のロスジェネ社員との確執、まさかの粉飾決算など、逆転ゲーム以外にも読ませどころは満載です。

ラストは期待通り、半沢と今回は部下の森山も一緒に、考え抜かれた秘策で見事窮地を脱してみせるのです。

そのクライマックスは、どうぞ小説を読んで堪能してくださいませ。

(参考)半沢直樹シリーズ:「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」

この本を読んでみてください係数 85/100


◆池井戸 潤

1963年岐阜県生まれ。

慶應義塾大学文学部および法学部卒業。1988年三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。

32歳で銀行を退職、コンサルタント業のかたわらビジネス書を執筆、その後小説家。

作品 「果つる底なき」「M1」「銀行狐」「最終退行」「不祥事」「シャイロックの子供たち」「鉄の骨」「民王」「下町ロケット」「七つの会議」ほか多数

関連記事

『Mの女』(浦賀和宏)_書評という名の読書感想文

『Mの女』浦賀 和宏 幻冬舎文庫 2017年10月10日初版 ミステリ作家の冴子は、友人・亜美から

記事を読む

『虫娘』(井上荒野)_書評という名の読書感想文

『虫娘』井上 荒野 小学館文庫 2017年2月12日初版 四月の雪の日。あの夜、シェアハウスで開か

記事を読む

『田村はまだか』(朝倉かすみ)_書評という名の読書感想文

『田村はまだか』朝倉 かすみ 光文社 2008年2月25日第一刷 田村は、私の妻の旧姓です。そん

記事を読む

『星に願いを、そして手を。』(青羽悠)_書評という名の読書感想文

『星に願いを、そして手を。』青羽 悠 集英社文庫 2019年2月25日第一刷 大人

記事を読む

『彼女はひとり闇の中』(天祢涼)_書評という名の読書感想文

『彼女はひとり闇の中』天祢 涼 光文社文庫 2025年7月20日 初版1刷発行 15th 天

記事を読む

『ブラフマンの埋葬』(小川洋子)_書評という名の読書感想文

『ブラフマンの埋葬』小川 洋子 講談社文庫 2017年10月16日第8刷 読めば読

記事を読む

『路地の子』上原 善広_書評という名の読書感想文

『路地の子』上原 善広 新潮社 2017年6月16日発売 金さえあれば差別なんてさ

記事を読む

『地獄行きでもかまわない』(大石圭)_書評という名の読書感想文

『地獄行きでもかまわない』大石 圭 光文社文庫 2016年1月20日初版 冴えない大学生の南里

記事を読む

『邪魔』(奥田英朗)_書評という名の読書感想文

『邪魔』奥田 英朗 講談社 2001年4月1日第一刷 『最悪』と双璧をなす、奥田英朗のクライム・

記事を読む

『希望が死んだ夜に』(天祢涼)_書評という名の読書感想文

『希望が死んだ夜に』天祢 涼 文春文庫 2023年9月1日第7刷 - 『あの子の殺

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『カラスは言った』(渡辺優)_書評という名の読書感想文

『カラスは言った』渡辺 優 中公文庫 2025年11月25日 初版発

『崩壊』(塩田武士)_書評という名の読書感想文

『崩壊』塩田 武士 PHP文芸文庫 2025年10月22日 第1版第

『禁断の中国史』(百田尚樹)_書評という名の読書感想文

『禁断の中国史』百田 尚樹 幻冬舎文庫 2025年11月10日初版発

『嘘つきジェンガ』(辻村深月)_書評という名の読書感想文

『嘘つきジェンガ』辻村 深月 文春文庫 2025年11月10日 第1

『べっぴんぢごく』(岩井志麻子)_書評という名の読書感想文

『べっぴんぢごく』岩井 志麻子 角川ホラー文庫 2025年7月25日

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑