『ワルツを踊ろう』(中山七里)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2024/01/09
『ワルツを踊ろう』(中山七里), 中山七里, 作家別(な行), 書評(わ行)
『ワルツを踊ろう』中山 七里 幻冬舎文庫 2019年10月10日初版
金も仕事も住処も失った元エリート・溝端了衛は20年ぶりに故郷に帰る。だがそこは、携帯の電波は圏外、住民は曲者ぞろいの限界集落。地域に溶け込む為、了衛は手を尽くすが、村八分にされ、さらには愛犬が不審死する。追い詰められ考えた乾坤一擲の策は予想外の結末をもたらし - 。降り注ぐのは恩寵か厄災か。著者史上最狂ミステリ。(幻冬舎文庫)
(解説に) タイトルからも分かるように、本書の底流には、〈ウィーンの森の物語〉〈皇帝円舞曲〉 と並びシュトラウスⅡ世の “三大ワルツ” とされる 〈美しく青きドナウ〉 の旋律が流れている。 とあります。
なら、あなたはどんな物語を想像するでしょう? クラシック音楽にはまるで興味がない。聴きたいとも思わない。故に、そんな人が読んでも面白いはずがない ・・・・・・・ とは限りません。
なぜなら、中山七里がそんな話を書くわけないのですから。あくまでそれは “底流” であり、この物語を逆説的に印象付けようとする、作者ならではの企みに他なりません。
目次を見てみましょう。
一 ドナウはかくも青く美しく
二 ぼくらのウィーンは君に挨拶をし
三 君の銀のリボンは土地と土地を結ぶ
四 君の美しい岸辺では
五 嬉々として心が高鳴る
※騙されてはいけません。これらの目次の全ては、これから起こる凶事をまことしやかに言い換えた “暗示” のようなものです。事は、格調高い文言とは裏腹に、東京都内に現存する限界集落での、一人の人間のある壮絶な闘いの顛末です。追い詰められ、感極まった彼は、では、何を為すべきだったのでしょう。
この本を読んでみてください係数 80/100
◆中山 七里
1961年岐阜県生まれ。
花園大学文学部国文科卒業。
作品 「切り裂きジャックの告白」「贖罪の奏鳴曲」「追憶の夜想曲」「七色の毒」「さよならドビュッシー」「闘う君の唄を」「嗤う淑女」「連続殺人鬼カエル男」他多数
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