『六番目の小夜子』(恩田陸)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
最終更新日:2024/01/10
『六番目の小夜子』(恩田陸), 作家別(あ行), 恩田陸, 書評(ら行)
『六番目の小夜子』恩田 陸 新潮文庫 2001年2月1日発行
津村沙世子 - とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。その高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして、今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。(新潮文庫)
何なのでしょう、(全体から感じる)この めんどくささは? もっともらしい説明はあるものの、何が為の 「サヨコ」 なのかがさっぱりわかりません。「サヨコ」が何なんだと。それがどうしたんだと。
言いたいのは、かつて自分が若く青かったことへの、感傷なのでしょうか。閉ざされた空間としての「学校」を、何かしら象徴的に示そうとしたのが「赤いバラ」であり「花瓶」なのでしょうか。
では、「サヨコ」とは? 顔も知らず、名前も知らない、まだ見ぬ『彼女』 と今いる彼らとの「因果」とは何なのでしょう?
単に受験の成否を占うだけなら、いかにも詰まらない。隠された意図が他にたくさんあるのでしょうが、それならそれで、もっとわかりやすく書けばいいのに。
この本を読んでみてください係数 75/100
◆恩田 陸
1964年青森県青森市生まれ。宮城県仙台市出身。
早稲田大学教育学部卒業。
作品 「夜のピクニック」「ユージニア」「中庭の出来事」「木洩れ日に泳ぐ魚」「蜜蜂と遠雷」「EPITAPH東京」他多数
関連記事
-
-
『あのひとは蜘蛛を潰せない』(彩瀬まる)_書評という名の読書感想文
『あのひとは蜘蛛を潰せない』彩瀬 まる 新潮文庫 2015年9月1日発行 ドラッグストア店長の
-
-
『リバース』(湊かなえ)_書評という名の読書感想文
『リバース』湊 かなえ 講談社文庫 2017年3月15日第一刷 深瀬和久は平凡なサラリーマン。自宅
-
-
『受け月』(伊集院静)_書評という名の読書感想文
『受け月』伊集院 静 文春文庫 2023年12月20日 第18刷 追悼 伊集院静 感動の直
-
-
『錠剤F』(井上荒野)_書評という名の読書感想文
『錠剤F』井上 荒野 集英社 2024年1月15日 第1刷発行 ひとは、「独り」 から逃れら
-
-
『くちなし』(彩瀬まる)_愛なんて言葉がなければよかったのに。
『くちなし』彩瀬 まる 文春文庫 2020年4月10日第1刷 別れた男の片腕と暮ら
-
-
『捨ててこそ空也』(梓澤要)_書評という名の読書感想文
『捨ててこそ空也』梓澤 要 新潮文庫 2017年12月1日発行 平安時代半ば、醍醐天皇の皇子ながら
-
-
『合意情死 がふいしんぢゆう』(岩井志麻子)_書評という名の読書感想文
『合意情死 がふいしんぢゆう』岩井 志麻子 角川書店 2002年4月30日初版 「熊」とあだ名
-
-
『事件』(大岡昇平)_書評という名の読書感想文
『事件』大岡 昇平 創元推理文庫 2017年11月24日初版 1961年夏、神奈川県の山林で刺殺体
-
-
『幸福な日々があります』(朝倉かすみ)_恋とは結婚とは、一体何なのか?
『幸福な日々があります』朝倉 かすみ 集英社文庫 2015年8月25日第1刷 「夫
-
-
『むかしむかしあるところに、死体がありました。』(青柳碧人)_書評という名の読書感想文
『むかしむかしあるところに、死体がありました。』青柳 碧人 双葉社 2019年6月3日第5刷