『政治的に正しい警察小説』(葉真中顕)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
最終更新日:2024/01/09
『政治的に正しい警察小説』(葉真中顕), 作家別(は行), 書評(さ行), 葉真中顕
『政治的に正しい警察小説』葉真中 顕 小学館文庫 2017年10月11日初版

飛ぶ鳥を落とす勢いの新鋭作家・浜名湖安芸 (はまなこ・あき) は、「ポリティカル・コレクトネス」 をコンセプトにした警察小説という “意識高い” 依頼を受けた。パワフルでエキセントリックな編集者を相手に、ハマナコは超大作を書き上げる!? (「政治的に正しい警察小説」) 大学生の僕は、偶然通りかかったカレー店で思い出の味に再会した。幼いころに生き別れた母の味だ。女店主にその 「秘密の隠し味」 を訊ねると・・・・・・・。(「カレーの女神様」 そのほか、児童虐待、将棋、冤罪、尊厳死など、多彩なテーマの六編を収録するブラックユーモア・ミステリー集。著者初の文庫オリジナル作! (小学館文庫)
※ポリティカル・コレクトネスとは、性別・人種・民族・宗教などに基づく差別・偏見を防ぐ目的で、政治的・社会的に公正・中立な言葉や表現を使用することをさす。wikipedia
[目次]
・秘密の海
・神を殺した男
・推定冤罪
・リビング・ウィル
・カレーの女神様
・政治的に正しい警察小説
帯に 「国家問題級の刺激作! 」 とあります。
(全てがそうとは限りませんが) 言われてみると、そんな内容ではあります。但し、『絶叫』 や 『ロスト・ケア』 といった長編小説のイメージをそのままに、またぞろ期待して読むとするなら、おそらくそれは期待外れに終わります。
それぞれが何かしら重いテーマでありながら、テイストはあくまでブラック&ユーモア。おまけにどんでん返しのミステリーでもあります。大きな期待はせずに、サラッと読んでください。空いた時間にする読書なら、最適の一冊です。
◆この本を読んでみてください係数 80/100

◆葉真中 顕
1976年東京都生まれ。
東京学芸大学教育学部中退。
作品 「絶叫」「ロスト・ケア」「ブラック・ドッグ」「コクーン」「凍てつく太陽」他
関連記事
-
-
『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』(中山七里)_書評という名の読書感想文
『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』中山 七里 講談社文庫 2013年11月15日第一刷 御子柴礼司は被
-
-
『殺人鬼フジコの衝動』(真梨幸子)_書評という名の読書感想文
『殺人鬼フジコの衝動』真梨 幸子 徳間文庫 2011年5月15日初版 小学5年生、11歳の少
-
-
『少女葬』(櫛木理宇)_書評という名の読書感想文
『少女葬』櫛木 理宇 新潮文庫 2024年2月20日 2刷 なぜ普通の少女は、最底
-
-
『静かな炎天』(若竹七海)_書評という名の読書感想文
『静かな炎天』若竹 七海 文春文庫 2016年8月10日第一刷 ひき逃げで息子に重傷を負わせた男の
-
-
『十字架』(重松清)_書評という名の読書感想文
『十字架』重松 清 講談社文庫 2012年12月14日第一刷 いじめを苦に自殺したあいつの遺書
-
-
『作家的覚書』(高村薫)_書評という名の読書感想文
『作家的覚書』高村 薫 岩波新書 2017年4月20日第一刷 「図書」誌上での好評連載を中心に編む
-
-
『JR品川駅高輪口』(柳美里)_書評という名の読書感想文
『JR品川駅高輪口』柳 美里 河出文庫 2021年2月20日新装版初版 誰か私に、
-
-
『新宿鮫』(大沢在昌)_書評という名の読書感想文(その2)
『新宿鮫』(その2)大沢 在昌 光文社(カッパ・ノベルス) 1990年9月25日初版 書評その1
-
-
『それでも日々はつづくから』(燃え殻)_書評という名の読書感想文
『それでも日々はつづくから』燃え殻 新潮文庫 2025年2月1日 発行 いつか忘れる日常を今
-
-
『素敵な日本人』(東野圭吾)_ステイホームにはちょうどいい
『素敵な日本人』東野 圭吾 光文社文庫 2020年4月20日初版 一人娘の結婚を案
















