『ペインレス 私の痛みを抱いて 上』(天童荒太)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
最終更新日:2024/01/07
『ペインレス 私の痛みを抱いて 上』(天童荒太), 作家別(た行), 天童荒太, 書評(は行)
『ペインレス 私の痛みを抱いて 上』天童 荒太 新潮文庫 2021年3月1日発行
「診察したいんです。あなたのセックスを」
心に痛みを感じない美貌の麻酔科医・野宮万浬。
爆弾テロで、体の痛みを失った青年・貴井森悟。愛のモンスターが
人間の 「モラル」 を打ち砕く -
衝撃の本格長編!身体の痛みを喪った青年は、その麻酔科女医にとって舌なめずりするような実験材料だった。他者への共感を生来持てなかった彼女は、快楽の在処を確かめるようなセックスの果てに何を企てようというのか。人類の倫理とDNAを決壊させる、構想20年の長編小説。(新潮社)
・はじめの一歩
肉体に痛みを感じない人たちが現実にいる。
その人を通して世界を見ると、我々一般人が見ているものとは違う世界が見えてくるのではないかという疑問。
・考えたのは
我々にとって本当に厳しい痛みというのは、肉体の痛みではなくて、精神的な痛みなのではないかという、更なる疑問。
・着想
心に痛みを感じない人間を主人公に。主人公はできれば女性に。
「心に痛みを感じない女性」 と 「肉体に痛みを感じない男性」 との間に愛の物語を表現できるだろうか、という試み。
描かれるのは、かつてない「性愛」である。
・下巻 『ペインレス あなたの愛を殺して』 はこちら
誘惑する少女万浬の恐るべき過去。
敗戦の闇から生まれた、
《美貌の怪物》 藤都亜黎。
息もつかせぬ展開に目が離せない! (新潮文庫)
この本を読んでみてください係数 85/100
◆天童 荒太
1960年愛媛県松山市生まれ。
明治大学文学部演劇学科卒業。
作品 「孤独の歌声」「家族狩り」「永遠の仔」「悼む人」「歓喜の仔」「包帯クラブ」他多数
関連記事
-
『初めて彼を買った日』(石田衣良)_書評という名の読書感想文
『初めて彼を買った日』石田 衣良 講談社文庫 2021年1月15日第1刷 もうすぐ
-
『さんかく』(千早茜)_なにが “未満” なものか!?
『さんかく』千早 茜 祥伝社 2019年11月10日初版 「おいしいね」 を分けあ
-
『我らが少女A』(高村薫)_書評という名の読書感想文
『我らが少女A』高村 薫 毎日新聞出版 2019年7月30日発行 一人の少女がいた
-
『カラヴィンカ』(遠田潤子)_書評という名の読書感想文
『カラヴィンカ』遠田 潤子 角川文庫 2017年10月25日初版 売れないギタリストの多聞は、音楽
-
『ボクたちはみんな大人になれなかった』(燃え殻)_書評という名の読書感想文
『ボクたちはみんな大人になれなかった』燃え殻 新潮文庫 2018年12月1日発行
-
『雪の練習生』(多和田葉子)_書評という名の読書感想文
『雪の練習生』多和田 葉子 新潮文庫 2023年10月5日 6刷 祝 National Bo
-
『毒島刑事最後の事件』(中山七里)_書評という名の読書感想文
『毒島刑事最後の事件』中山 七里 幻冬舎文庫 2022年10月10日初版発行 大人
-
『箱庭図書館』(乙一)_書評という名の読書感想文
『箱庭図書館』乙一 集英社文庫 2013年11月25日第一刷 僕が小説を書くようになったのには、心
-
『墓地を見おろす家』(小池真理子)_書評という名の読書感想文
『墓地を見おろす家』小池 真理子 角川ホラー文庫 2014年2月20日改訂38版 都心・新築しかも
-
『照柿』(高村薫)_書評という名の読書感想文
『照柿』高村 薫 講談社 1994年7月15日第一刷 おそらくは、それこそが人生の巡り合わせとし