『ペインレス 私の痛みを抱いて 上』(天童荒太)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
『ペインレス 私の痛みを抱いて 上』(天童荒太), 作家別(た行), 天童荒太, 書評(は行)
『ペインレス 私の痛みを抱いて 上』天童 荒太 新潮文庫 2021年3月1日発行
「診察したいんです。あなたのセックスを」
心に痛みを感じない美貌の麻酔科医・野宮万浬。
爆弾テロで、体の痛みを失った青年・貴井森悟。愛のモンスターが
人間の 「モラル」 を打ち砕く -
衝撃の本格長編!身体の痛みを喪った青年は、その麻酔科女医にとって舌なめずりするような実験材料だった。他者への共感を生来持てなかった彼女は、快楽の在処を確かめるようなセックスの果てに何を企てようというのか。人類の倫理とDNAを決壊させる、構想20年の長編小説。(新潮社)
・はじめの一歩
肉体に痛みを感じない人たちが現実にいる。
その人を通して世界を見ると、我々一般人が見ているものとは違う世界が見えてくるのではないかという疑問。
・考えたのは
我々にとって本当に厳しい痛みというのは、肉体の痛みではなくて、精神的な痛みなのではないかという、更なる疑問。
・着想
心に痛みを感じない人間を主人公に。主人公はできれば女性に。
「心に痛みを感じない女性」 と 「肉体に痛みを感じない男性」 との間に愛の物語を表現できるだろうか、という試み。
描かれるのは、かつてない「性愛」である。
・下巻 『ペインレス あなたの愛を殺して』 はこちら
誘惑する少女万浬の恐るべき過去。
敗戦の闇から生まれた、
《美貌の怪物》 藤都亜黎。
息もつかせぬ展開に目が離せない! (新潮文庫)
この本を読んでみてください係数 85/100
◆天童 荒太
1960年愛媛県松山市生まれ。
明治大学文学部演劇学科卒業。
作品 「孤独の歌声」「家族狩り」「永遠の仔」「悼む人」「歓喜の仔」「包帯クラブ」他多数
関連記事
-
-
『ペインレス あなたの愛を殺して 下』(天童荒太)_書評という名の読書感想文
『ペインレス あなたの愛を殺して 下』天童 荒太 新潮文庫 2021年3月1日発行 ペインレ
-
-
『ファーストラヴ』(島本理生)_彼女はなぜ、そうしなければならなかったのか。
『ファーストラヴ』島本 理生 文春文庫 2020年2月10日第1刷 ファーストラヴ (文春文
-
-
『エヴリシング・フロウズ』(津村記久子)_書評という名の読書感想文
『エヴリシング・フロウズ』津村 記久子 文春文庫 2017年5月10日第一刷 エヴリシング・フ
-
-
『パイナップルの彼方』(山本文緒)_書評という名の読書感想文
『パイナップルの彼方』山本 文緒 角川文庫 2022年1月25日改版初版発行 生きづ
-
-
『あなたの不幸は蜜の味』(辻村深月ほか)_書評という名の読書感想文
『あなたの不幸は蜜の味』辻村深月ほか PHP文芸文庫 2019年7月19日第1版 あなたの不
-
-
『花の鎖』(湊かなえ)_書評という名の読書感想文
『花の鎖』湊 かなえ 文春文庫 2018年8月1日19刷 花の鎖 (文春文庫) 両親を亡くし
-
-
『傲慢と善良』(辻村深月)_書評という名の読書感想文
『傲慢と善良』辻村 深月 朝日新聞出版 2019年3月30日第1刷 傲慢と善良 婚約者
-
-
『青空と逃げる』(辻村深月)_書評という名の読書感想文
『青空と逃げる』辻村 深月 中公文庫 2021年7月25日初版 青空と逃げる (中公文庫)
-
-
『犬のかたちをしているもの』(高瀬隼子)_書評という名の読書感想文
『犬のかたちをしているもの』高瀬 隼子 集英社文庫 2022年9月17日第2刷 「
-
-
『八番筋カウンシル』(津村記久子)_書評という名の読書感想文
『八番筋カウンシル』津村 記久子 朝日文庫 2014年4月30日第一刷 八番筋カウンシル (朝