『雪の練習生』(多和田葉子)_書評という名の読書感想文

『雪の練習生』多和田 葉子 新潮文庫 2023年10月5日 6刷

祝 National Book Awards 全米図書賞受賞 美しくたくましいホッキョクグマ三代の物語

膝を痛めて、サーカスの花形から事務職に転身し、やがて自伝を書きはじめた 「わたし」。どうしても誰かに見せたくなり、文芸誌編集長のオットセイに読ませるが・・・・・・・。

サーカスで女曲芸師と伝説の芸を成し遂げた娘の 「トスカ」、その息子で動物園の人気ものとなった 「クヌート」 へと受け継がれる、生の哀しみときらめき。ホッキョクグマ三代の物語をユーモラスに描きあげた、野間文芸賞受賞作。(新潮文庫)

[目次]
祖母の退化論
死の接吻
北極を想う日

- この小説は、何よりもまず、出来るだけ予備知識抜きに読まれるべき作品だと思う。なので万が一、もしも先にこの解説を読みつつある方がいらっしゃったなら、ここで頁 (ページ) を最初に戻して、第一部 「祖母の退化論」 の冒頭に視線を据えてみていただきたい。

そこにはこう書かれているはずだ。「耳の裏側や脇の下を彼にくすぐられて、くすぐったくて、たまらなくなって、身体をまるめて床をころがりまわった。きゃっきゃと笑っていたかもしれない・・・・・・」。なんて魅惑的な書き出しだろう。あとはもう、するすると続く文字たちをただひたすらに追っていくしかない。そうしないではいられない。言葉たちのダンスに乗せられて、ふと気づけば、第三部 「北極を想う日」 の最後の一文に辿り着いていることだろう。(佐々木敦/解説より)

冒頭から続く物語のあまりの不思議さに、「あとはもう、するすると続く文字たちをただひたすらに追っていくしかない。そうしないではいられない」・・・・・・・ かどうかはわかりません。著者の創造力と想像力に、はたしてあなたはついていけるでしょうか。

私は無理でした。ストーリーを追うのがせいぜいで、感想など書けたものではありません。もしも。みごとあなたが読み終えたなら、その節はどうか私に読んだ感想を聞かせてください。お願いします。

この本を読んでみてください係数 00/100

◆多和田 葉子
1960年東京都生まれ。
早稲田大学第一文学部卒業。ハンブルク大学修士課程修了。チューリッヒ大学博士課程修了。ベルリン在住。

作品 「かかとを失くして」「ヒナギクのお茶の場合」「球形時間」「容疑者の夜行列車」「尼僧とキューピッドの弓」「犬婿入り」「雲をつかむ話」「献灯使」他多数

関連記事

『仮面病棟』(知念実希人)_書評という名の読書感想文

『仮面病棟』知念 実希人 実業之日本社文庫 2014年12月15日初版 強盗犯により密室と化す病院

記事を読む

『きのうの影踏み』(辻村深月)_書評という名の読書感想文

『きのうの影踏み』辻村 深月 角川文庫 2018年8月25日初版 雨が降る帰り道、後輩の女の子と

記事を読む

『夜は終わらない』上下 (星野智幸)_書評という名の読書感想文

『夜は終わらない』上下 星野 智幸 講談社文庫 2018年2月15日第一刷 「婚約者が自殺した」と

記事を読む

『李歐』(高村薫)_書評という名の読書感想文

『李歐』高村 薫 講談社文庫 1999年2月15日第一刷 その事件は、『大阪で暴力団抗争5人

記事を読む

『ビオレタ』(寺地はるな)_書評という名の読書感想文

『ビオレタ』寺地 はるな ポプラ文庫 2017年4月5日第1刷 「何歳までに結婚

記事を読む

『サンティアゴの東 渋谷の西』(瀧羽麻子)_書評という名の読書感想文

『サンティアゴの東 渋谷の西』瀧羽 麻子 講談社文庫 2019年5月15日第1刷

記事を読む

『これが私の優しさです』(谷川俊太郎)_書評という名の読書感想文

『これが私の優しさです』谷川 俊太郎 集英社文庫 1993年1月25日第一刷 1952年のデ

記事を読む

『おとぎのかけら/新釈西洋童話集』(千早茜)_書評という名の読書感想文

『おとぎのかけら/新釈西洋童話集』千早 茜 集英社文庫 2013年8月25日第一刷 母親から育児放

記事を読む

『とにかくうちに帰ります』(津村記久子)_書評という名の読書感想文

『とにかくうちに帰ります』津村 記久子 新潮社 2012年2月25日発行 「家に帰る以上の価

記事を読む

『作家的覚書』(高村薫)_書評という名の読書感想文

『作家的覚書』高村 薫 岩波新書 2017年4月20日第一刷 「図書」誌上での好評連載を中心に編む

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『アトムの心臓 「ディア・ファミリー」 23年間の記録』(清武英利)_書評という名の読書感想文

『アトムの心臓 「ディア・ファミリー」 23年間の記録』清武 英利 

『メイド・イン京都』(藤岡陽子)_書評という名の読書感想文

『メイド・イン京都』藤岡 陽子 朝日文庫 2024年4月30日 第1

『あいにくあんたのためじゃない』(柚木麻子)_書評という名の読書感想文

『あいにくあんたのためじゃない』柚木 麻子 新潮社 2024年3月2

『執着者』(櫛木理宇)_書評という名の読書感想文

『執着者』櫛木 理宇 創元推理文庫 2024年1月12日 初版 

『オーブランの少女』(深緑野分)_書評という名の読書感想文

『オーブランの少女』深緑 野分 創元推理文庫 2019年6月21日

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑