『妖の絆』(誉田哲也)_書評という名の読書感想文

『妖の絆』誉田 哲也 文春文庫 2025年7月10日 第1刷

どこまでも美しく、凶暴。最強ヒロインの運命の出会いを描く妖シリーズエピソード・ゼロ  

頼むよ、紅鈴。俺を、鬼にしてくれよ。

人の血を啜り、江戸の闇夜に潜む絶世の美女・紅鈴は、裏切りと貧困にもがく少年・欣治を偶然救い出す。絶望の中でも懸命に生きる欣治の姿に、孤独な紅鈴は心打たれ、二人は共に鬼として生きる道を選ぶ。一方、紅鈴の力を狙う謎の一族が忍び寄り・・・・・・・。永遠の時を生きる者を描く 「妖」 シリーズエピソード・ゼロ。 解説・末國善己 (文春文庫)

メチャメチャ面白い。お色気に、圧倒的な暴力。時代を映した企みがあり、お涙頂戴の人情噺が相まって、どこを取っても面白い。あっという間に読めてしまいます。

年を取らず何十年も姿形が変わらないため同じ土地に住めず、あてどない旅を続ける紅鈴は、道順なる男が賭場で声を掛けた男たちに襲われるが、彼らを瞬殺し、離れた場所にいた道順の仲間も倒す。一方、六つの欣治は、消えた父が残した借金の形として母が吉原へ売られ、一人で妹の世話をしていた。近くの畑から作物を盗んでいた欣治は、村人に見つかり折檻されていたところを円光寺の和尚に救われる。妹と円光寺に落ち着き和尚に白米を食べさせてもらうが、和尚が欣治を引き取ったのは男色の相手をさせるためで、欣治に襲いかかり着物を脱がしていく。(略)

欣治の危機を救ったのは紅鈴で、怪力で和尚を殺すと母を身請けするため吉原で働くという。そして欣治の母を連れて行った吉平に会った紅鈴は、大見世ではなく長屋の切見世で働くようにして欲しいと頼む。

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大見世に上がってすぐに座敷持ちになれるほどの美貌を持つ紅鈴だったが、面倒なしきたりが嫌いで昼間に活動できないので、涼風を名乗り西河岸の切見世で賭け抜きを始める。賭け抜き は、二分という一ト切の相場の三十倍の高値を払い、百数えるまでにをヤると男の負け、持ち堪えたら男の勝ちで紅鈴を一晩自由にできる。欲望をむき出しに男たちと紅鈴のセックス・バトルが前半の読みどころで、凄まじいエロティシズムと、どちらが勝つかのサスペンスに魅了されるだろう。(解説より)

イカサマなしの真剣勝負と思いきや、勢い込んで申し込んだ男たちは、じつは “鬼“ を相手にしているわけです。極めつきの美貌の上に、感情なしに身体 (アソコ) を自在にコントロールできる紅鈴に勝てるわけがありません。途中コミカルな場面も満載で、たちまちにして紅鈴は数十両を稼ぎ出します。

そして後半。物語は吉原から舞台を円光寺へと移します。冒頭で紅鈴を襲わせた道順の背後関係がわかり、その目的が明らかになります。紅鈴を 「不老不死の妖・閣羅」 と定め、その生き血を持ち帰ろうというものでした。道順が一族の、それが二百年以上にも渡る悲願だったのです。

この本を読んでみてください係数  85/100

◆誉田 哲也
1969年東京都生まれ。
学習院大学経済学部経営学科卒業。

作品 「妖の華」「「妖の掟」「アクセス」「ストロベリーナイト」「ハング」「あなたが愛した記憶」「背中の蜘蛛」「主よ、永遠の休息を」「レイジ」他多数

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