『舎人の部屋』(花村萬月)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2024/01/11
『舎人の部屋』(花村萬月), 作家別(は行), 書評(た行), 花村萬月
『舎人の部屋』花村 萬月 双葉文庫 2018年1月14日第一刷
過食嘔吐を繰り返す小説家志望の自称モデル・宮島弥生を描いた前作『浄夜』の登場人物だった舎人憲人。果たして彼は弥生の想念のなかから生みだされた妄想なのか、それとも・・・・・・・。虚構と現実を行き来する舎人の”M”を描いた哲学的小説。(双葉文庫)
- 物語は、筋金入りのマゾヒストである舎人憲人(とねり・のりと)が、一人称で語る小説という形で進行する。インテリかつ有能でありながら、あえて倉庫番として働く傍ら、妻の冴子とセックスをし、さらには他の女も抱いている舎人。彼の言動は、すべて虐められ、蔑まれることに収斂していく。自分を車で撥ねた女と寝るのも、会社の女を盗ったと逆恨みする社員にリンチされるのも、自分のマゾヒズムを満足させるためなのだ。しかし、中盤になって、いきなり『浄夜』の主人公の女性作家・宮島弥生が現れると、物語のトーンが微妙に変化。そして終盤に至り、読者は予想外の着地点へと、引きずり込まれてしまうのであった。(ブックレビュー:小説推理2015年1月号より抜粋)
簾頭の四十男で何の取り柄も無さそうにみえる舎人憲人は、実は生粋のマゾヒストである。無類のセックス好きで、妻の冴子とは週に3、4回。それだけに止まっているのは他に相手があるからだ、というのだから凄い。
変態で絶倫、には違いないのですが、舎人の言い分はこうです。
私の性交は、射精が目的ではありません。
- もちろんささやかな御褒美として射精を許してもらえると、それはそれで嬉しいのですが。でも、それよりもなによりも爆ぜそうで爆ぜそうで、爆ぜるぎりぎりまで追い込まれたあげく、射精に対する認可を与えられず、そのまま放置されたりしたら、私、悲しくて、切なくて、股間に痼(しこ)った苛立ちを抱きしめて - 嬉しがるでしょう。しかもその嬉しさに対してなんらかのかたちで強烈な抑圧を押しつけられたりしたら、もういけません。私、その抑圧を与えてくれた方の奴隷になります。
私、あなたに虐めてほしい。私、あなたに虐められたい。 私は、虐められたいのです。
もうこれ、変態濃度100%の小説です。
これ以上は書きません。なぜなら、書けば書くほど舎人憲人の思う壺なのですから。読むと理由がわかるのですが、できれば読まずにおくことをおすすめします。読めば読むほど舎人憲人を、なお助長させることになります。
この本を読んでみてください係数 80/100
◆花村 萬月
1955年東京都生まれ。
サレジオ中学卒業後、寝袋ひとつで全国を放浪、さまざまな職業を経験する。
作品 「ゴッド・ブレイス物語」「笑う山崎」「ゲルマニウムの夜」「ブルース」「ぢん・ぢん・ぢん」「二進法の犬」「王国記」「百万遍 青の時代」「沖縄を撃つ!」「武蔵」他多数
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