『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ)_書評という名の読書感想文

『52ヘルツのクジラたち』町田 そのこ 中央公論新社 2021年4月10日15版発行

52ヘルツのクジラとは -
他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、
世界で一頭だけのクジラ。
たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。
そのため、世界で一番孤独だと言われている。

自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、
母に虐待され
ムシと呼ばれていた少年。
孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、
新たな魂の物語が生まれる - 。
(中央公論新社)

今最も旬な小説、2021年本屋大賞第1位 町田そのこの 『52ヘルツのクジラたち』 を読みました。

本日 (2021年4月24日) の京都新聞、毎土曜日に掲載される書評欄の、直近一週間のベストセラー欄では堂々1位にランクされています。売れているのは確かなようです。

(仲間の) 誰にも自分の声が届かない。伝えるすべがない。世界に一頭だけ、そんなクジラがいるらしい。気の遠くなるほどの絶望感と孤独感とを、登場人物の生き様と重ね合わせることで、

読んだ多くの人が感動し、「泣いた」 らしい。

物語の主人公は貴瑚 きこ という女性で、親から長年にわたって虐待を受けた上に、束縛され続けて心に深い傷を負っている。そんな彼女は恩人となる人の助けも借りて家族から離れることができたが、さらなる不幸が彼女を襲う。すべての人間関係を断ち切って田舎の一軒家に引っ越してきたものの、田舎ならではの無遠慮な眼差しにさらされて辟易としていた。そんなある日、言葉を全く発することができない一人の少年と出会う。その怯えたような態度から、貴瑚は、彼もまた親から虐待されているのではないかと推測する。(webサイト「好書好日」 より)

過去を断ち切れず、前へも進めない。そんな彼女が出会ったのは、貧しい身なりの、口がきけない少年でした。少年は明らかに、何かに怯えています。少年に対し、彼女はかつての自分と同じ匂いを感じ取ります。虐げられ、それを誰にも告げられずにいるのがわかります。

※評判通り、泣くにはもってこいの本だと思います。ツッコミどころがままあるにはありますが、読者の支持を集めているのもよくわかります。但し、どちらが好きかと訊かれたら、私は先に読んだデビュー作 『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』 の方だと答えます。

この本を読んでみてください係数  80/100 

◆町田 そのこ
1980年福岡県京都群生まれ。
北九州市立高等理容美容学校卒業。

作品 2016年 「カメルーンの青い魚」 で 「女による女のためのR-18文学賞」 大賞を受賞。翌年、同作を含むデビュー作 『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』 を刊行。他に 「ぎょらん」「うつくしが丘の不幸の家」など

関連記事

『黒猫亭事件』(横溝正史)_書評という名の読書感想文

『黒猫亭事件』横溝 正史 角川文庫 2024年11月15日 3版発行 あなたの時間を少しだけ

記事を読む

『玉瀬家の出戻り姉妹』(まさきとしか)_書評という名の読書感想文

『玉瀬家の出戻り姉妹』まさき としか 幻冬舎文庫 2023年9月10日初版発行 まさ

記事を読む

『鏡じかけの夢』(秋吉理香子)_書評という名の読書感想文

『鏡じかけの夢』秋吉 理香子 新潮文庫 2021年6月1日発行 「このゾクゾクがた

記事を読む

『この本を盗む者は』(深緑野分)_書評という名の読書感想文

『この本を盗む者は』深緑 野分 角川文庫 2025年11月5日 8版発行 2021年 本屋大

記事を読む

『セルフィの死』(本谷有希子)_書評という名の読書感想文

『セルフィの死』本谷 有希子 新潮社 2024年12月20日 発行 もう二度とSNSができな

記事を読む

『監殺』(古野まほろ)_書評という名の読書感想文

『監殺』古野 まほろ 角川文庫 2021年2月25日第1刷 唯一無二 異色の警察ド

記事を読む

『草にすわる』(白石一文)_書評という名の読書感想文

『草にすわる』白石 一文 文春文庫 2021年1月10日第1刷 一度倒れた人間が、

記事を読む

『合理的にあり得ない』(柚月裕子)_書評という名の読書感想文

『合理的にあり得ない』柚月 裕子 講談社文庫 2020年5月15日第1刷 上水流涼

記事を読む

『デフ・ヴォイス/法廷の手話通訳士』(丸山正樹)_書評という名の読書感想文

『デフ・ヴォイス/法廷の手話通訳士』丸山 正樹 文春文庫 2015年8月10日第一刷 仕事と結

記事を読む

『神様』(川上弘美)_書評という名の読書感想文

『神様』川上 弘美 中公文庫 2001年10月25日初版 なぜなんだろうと。なぜ私はこの人の小説

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『羆嵐』(吉村昭)_書評という名の読書感想文

『羆嵐』吉村 昭 新潮文庫 2026年12月20日 62刷発行

『妊娠カレンダー』(小川洋子)_書評という名の読書感想文

『妊娠カレンダー』小川 洋子 文春文庫 2020年12月20日 第2

『カフェーの帰り道』(嶋津輝)_書評という名の読書感想文

『カフェーの帰り道』嶋津 輝 東京創元社 2026年1月23日 4版

『きっと君は泣く』(山本文緒)_書評という名の読書感想文

『きっと君は泣く』山本 文緒 角川文庫 2026年1月25日 改版初

『彼女たちが隠したかったこと』(一木けい)_書評という名の読書感想文

『彼女たちが隠したかったこと』一木 けい 角川文庫 2026年1月2

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑