『6月31日の同窓会』(真梨幸子)_書評という名の読書感想文

『6月31日の同窓会』真梨 幸子 実業之日本社文庫 2019年2月15日初版

6月31日の同窓会 (実業之日本社文庫)

案内状が届くと死ぬその伝説が現実に - !? 伝統ある女子校・蘭聖学園の卒業生が連続死する。OGの弁護士・松川凛子は、死亡した女たちが、存在しないはずの 「6月31日」 に開催される同窓会の案内状を受け取っていたことを突き止める。やがて凛子にも案内状が届き - 。悪意が渦巻く女の友情と学園の “闇” が深まる中たどりついた真相とは。先読み不能、一気読み必至の長編ミステリー! (実業之日本社文庫)

相変わらずの後味の悪さ。隙間なく埋め尽くされた強い悪意。物語は終始前後を繰り返し、攪乱されるがままに結末を迎えます。生半可なことでは、到底ことの真相には辿り着けません。

蘭聖学園
蘭聖学園は、神奈川県瑠璃市夢見が崎一丁目(旧相模郡瑠璃町)に所在し、小中高短大一貫教育を提供する私立女子学校。原則、初等部と短大のみ入学者を募集し、初等部からはエスカレーター式で進級させる完全一貫システムだが、中等部、高等部、それぞれ、数名から数十名の入学者を募集することもある。

沿革 1914年(大正3年) 3月、ドイツ人の修道女マリア・ジハルトが、女子を対象にした行儀見習い施設及び修練所マイグレックヒェン(鈴蘭)会 を瑠璃町に設立。(以下略)

校訓 平等であれ、 純潔であれ、 正しくあれ。

※上記の文章には嘘偽りは一切ありません。但し、(この学園が他の学校と比べ、著しく異なる点についての) 説明が十分に尽くされているかというと、そうは言えません。この物語のそもそもは、そこにこそあります。

登場する人物らは、おしなべてその “秘密” に関与しています。彼女らは、必ずしもこの学園に望んで入ったわけではありません。入学後、思いもしなかった “序列” があるのに気付きます。

[目次]
第一話  柏木陽奈子の記憶
第二話  松川凛子の選択
第三話  鈴木咲穂の綽名
第四話  福井結衣子の疑惑
第五話  矢板雪乃の初恋
第六話  小出志津子の証言
第七話  海藤恵麻の行方
第八話  土門公美子の推理
第九話  合田満の告白
(結末) 再び、柏木陽奈子の記憶

ある時期、高等部で共に学んだ彼女らは、大人になったある日、ありもしない 「6月31日」 に開催するという同窓会の案内状を受け取ります。

その案内状は今や 「伝説」 となり、何らかの “お仕置き” をされる覚えのある者に向けてのみ送られてくるというものでした。

ふざけた冗談としか思えなかったものが、ある日突然に自分にも届きます。その時、彼女は何を思うのでしょう? 現に何人かの同級生が同じ案内状を受け取り、その直後に不審な死を遂げていたとしたら。疑心暗鬼は連鎖し、悪いことしか考えられなくなります。

◆この本を読んでみてください係数 80/100

6月31日の同窓会 (実業之日本社文庫)

◆真梨 幸子
1964年宮崎県生まれ。
多摩芸術学園映画科(現、多摩芸術大学映像演劇学科)卒業。

作品 「孤虫症」「えんじ色心中」「殺人鬼フジコの衝動」「深く深く、砂に埋めて」「女ともだち」「あの女」「みんな邪魔」「人生相談」「お引っ越し」他多数

関連記事

『猫を棄てる』(村上春樹)_父親について語るとき

『猫を棄てる 父親について語るとき』村上 春樹 文藝春秋 2020年4月25日第1刷 猫を棄

記事を読む

『69 sixty nine』(村上龍)_書評という名の読書感想文

『69 sixty nine』村上 龍 集英社 1987年8月10日第一刷 69 sixty

記事を読む

『カンガルー日和』(村上春樹)_書評という名の読書感想文

『カンガルー日和』村上 春樹 平凡社 1983年9月9日初版 カンガルー日和 (講談社文庫)

記事を読む

『走れ! タカハシ』(村上龍)_書評という名の読書感想文

『走れ! タカハシ』村上龍 講談社 1986年5月20日第一刷 走れ,タカハシ! (講談社文庫

記事を読む

『カラフル』(森絵都)_書評という名の読書感想文

『カラフル』森 絵都 文春文庫 2007年9月10日第一刷 カラフル (文春文庫) 生前の罪

記事を読む

『自分を好きになる方法』(本谷有希子)_書評という名の読書感想文

『自分を好きになる方法』本谷 有希子 講談社文庫 2016年6月15日第一刷 自分を好きになる

記事を読む

『奇貨』(松浦理英子)_書評という名の読書感想文

『奇貨』松浦 理英子 新潮文庫 2015年2月1日発行 奇貨 (新潮文庫) 知ってる人は、知って

記事を読む

『熊金家のひとり娘』(まさきとしか)_生きるか死ぬか。嫌な男に抱かれるか。

『熊金家のひとり娘』まさき としか 幻冬舎文庫 2019年4月10日初版 熊金家のひとり娘

記事を読む

『流浪の月』(凪良ゆう)_デジタルタトゥーという消えない烙印

『流浪の月』凪良 ゆう 東京創元社 2020年4月3日6版 【2020年本屋大賞 大賞受賞作

記事を読む

『ルビンの壺が割れた』(宿野かほる)_書評という名の読書感想文

『ルビンの壺が割れた』宿野 かほる 新潮社 2017年8月20日発行 ルビンの壺が割れた こ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

『坂の上の赤い屋根』(真梨幸子)_書評という名の読書感想文

『坂の上の赤い屋根』真梨 幸子 徳間文庫 2022年7月15日初刷

『青い鳥』(重松清)_書評という名の読書感想文

『青い鳥』重松 清 新潮文庫 2021年6月15日22刷

『神の手』(望月諒子)_書評という名の読書感想文

『神の手』望月 諒子 集英社文庫 2022年7月12日第8刷

『腐葉土』(望月諒子)_書評という名の読書感想文

『腐葉土』望月 諒子 集英社文庫 2022年7月12日第6刷

『死刑について』(平野啓一郎)_書評という名の読書感想文

『死刑について』平野 啓一郎 岩波書店 2022年6月16日第1刷発

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑