『ナキメサマ』(阿泉来堂)_書評という名の読書感想文

『ナキメサマ』阿泉 来堂 角川ホラー文庫 2020年12月25日初版

ナキメサマ (角川ホラー文庫)

最後まで読んだ時、あなたの視界は恐怖に染まる。

高校時代の初恋の相手・小夜子のルームメイトが、突然部屋を訪ねてきた。音信不通になった小夜子を一緒に捜してほしいと言われ、倉坂尚人は彼女の故郷、北海道・稲守村 (いなかみむら) に向かう。しかし小夜子はとある儀式の巫女に選ばれすぐには会えないと言う。村に滞在することになった尚人達は、神社を徘徊する異様な人影と遭遇。更に人間業とは思えぬほど破壊された死体が次々と発見され・・・・・・・。大どんでん返しの最恐ホラー、誕生! (角川ホラー文庫)

第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞・読者賞受賞作

昨年12月の中頃でしたか、たしか朝刊の文芸欄に紹介されているのを見つけました。すぐにも読みたいと思ったのは、「ナキメサマ」 というタイトルと、目玉を二つ皿にのせ、血を流す花嫁姿の表紙の絵に、ガチでホラーの予感がしたからでした。

倉坂尚人の部屋を訪ねてきたのは、小夜子のルームメイトだという女性でした。「実は、小夜子の事であなたにお願いがあるの」 - 有川弥生は、そう切り出したのでした。

葦原小夜子。それはかつて尚人が心から愛した女性の名前でした。別れてから何年ぶりにその名前を耳にしたことでしょう。尚人は小夜子をずっと忘れたいと思っていました。

弥生によると、小夜子は三週間ほど前に休みを取って帰省したのだといいます。彼女の両親は交通事故で二年前に亡くなっており、小夜子が帰ったのは、かつて家族が暮らしていた厳美沢市ではなくさらにその奥の、峠を二つ越えた先にある小さな村で、そこには叔母さん一家とお祖父さんが住んでいるのだそうです。

一週間で戻ると言って出かけたものが、二週間経っても何の音沙汰もありません。連絡を取ろうにも携帯に出ないし折り返しもなく、いてもたってもいられず、弥生は尚人の居場所を探し当て、小夜子がいるはずの村まで一緒に来てはもらえないかと言うのでした。

- と、ここまでが謂わば前振り部分。話はいよいよ怪異の舞台 - 稲守村へと場面を変えます。

稲守村へは約二時間半の道程だった。そのうち、一時間ほどで厳美沢市へと差し掛かる。そこまでは流れの良い国道を走っていたのだが、そこから先、二つの峠を越えてからは、木々が生い茂る森に囲まれた山道が延々と続いた。かろうじて舗装されてはいるが、対向車が来たらすれ違えないくらいに道幅は狭く、慎重なハンドルさばきが要求された。(P24)

稲守村は、もちろんのこと “陸の孤島” ではありません。朝と夜の一日二回、市の運営するバスが走っています。物流もあります。ただほとんど好んで出かける人などいない、その分排他的な、古くからの因習が色濃く残る村ではありました。

その村で今年、ある 「儀式」 が行われようとしています。それは 「二十三年ぶり」 のことで、その儀式になくてはならない 「巫女」 の役目を負ったのが小夜子でした。

彼女は最初、自分が巫女になるなどとは思ってもいません。「お前を巫女にするわけにはいかん」 - そう言って、小夜子の父は稲守村を出たのでした。それが今、どういうわけでか、小夜子自身が承知の上で、巫女の役目を果たそうとしています。

すべてが 「ナキメサマ」 のため、すべては小夜子の祖父・葦原辰吉が仕組んだことでした。

ぎゃあぁあああああぁぁ!!! ・・・・・・・

この本を読んでみてください係数 80/100

ナキメサマ (角川ホラー文庫)

◆阿泉 来堂
北海道在住。会社員。

作品 本作 (受賞時タイトル 「くじりなきめ」) で第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞 (読者賞) 受賞。

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