『藤色の記憶』(あさのあつこ)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
最終更新日:2024/01/07
『藤色の記憶』(あさのあつこ), あさのあつこ, 作家別(あ行), 書評(は行)
『藤色の記憶』あさの あつこ 角川文庫 2020年12月25日初版

※本書は、2012年9月に講談社より刊行された単行本 『白兎2 地に埋もれて』 を加筆修正し、改題のうえ文庫化したものです。
心中間際、心変わりした恋人によって地中に埋められた優枝。掘り起こし助けてくれたのは白兎という見知らぬ少年だった。彼は恋人への復讐をそそのかすが、どこかからかうような態度に、優枝は戸惑うしかなかった。そこへ突然、生き別れの弟・慶介から連絡が届く。母が手遅れの病で入院しており、優枝に逢いたがっていると。母はかつて父と自分を捨て家を出ていた。逡巡の末、優枝は白兎を伴い、故郷へと旅立つが・・・・・・・。(角川文庫)
目が覚めると土の中にいた。
埋もれているのだと、すぐに悟った。
ああ、わたしは土の中にいる。(本文より)
埋めたのは、不倫相手の日出彦でした。彼は四十歳を越え、妻も子もいる中年男で、総合病院で麻酔科の医師をしています。
優枝と日出彦が出会ったのは、彼の母親の葬儀の時でした。優枝は葬祭センターの会場係でした。どこから見ても立派な大人の日出彦は、母親の葬儀の際、人目もはばからず号泣したのでした。
彼は、極端なマザコン男でした。皆が引くなかで、優枝は懸命に日出彦を宥めます。全ては、速やかに葬儀を進行するためでした。それがいつの間にやら同情心に変化しています。日出彦に本気で哀れを感じ、やがて付き合うようになり、すぐに男女の仲になります。
一緒に死のうと言ったのは、日出彦の方でした。
※優枝を土の中から掘り出したのが、白兎という名の少年でした。冒頭から、いきなり白兎が現れた!?
ということは・・・・・・・
この本を読んでみてください係数 85/100

◆あさの あつこ
1954年岡山県英田郡美作町(現:美作市)湯郷生まれ。
青山学院大学文学部卒業。
作品 「ほたる館物語」「バッテリー」「バッテリーⅡ」「たまゆら」他多数
関連記事
-
-
『誰? 』(明野照葉)_書評という名の読書感想文
『誰? 』明野 照葉 徳間文庫 2020年8月15日初刷 嵌められた、と気づいた時
-
-
『煩悩の子』(大道珠貴)_書評という名の読書感想文
『煩悩の子』大道 珠貴 双葉文庫 2017年5月14日第一刷 桐生極(きわみ)は小学五年生。いつも
-
-
『推し、燃ゆ』(宇佐見りん)_書評という名の読書感想文
『推し、燃ゆ』宇佐見 りん 河出書房新社 2021年3月15日40刷発行 推しが、
-
-
『レプリカたちの夜』(一條次郎)_書評という名の読書感想文
『レプリカたちの夜』一條 次郎 新潮文庫 2018年10月1日発行 いきなりですが、本文の一部を
-
-
『地雷グリコ』(青崎有吾)_書評という名の読書感想文
『地雷グリコ』青崎 有吾 角川書店 2024年6月20日 8版発行 第24回 本格ミステリ大
-
-
『不愉快な本の続編』(絲山秋子)_書評という名の読書感想文
『不愉快な本の続編』絲山 秋子 新潮文庫 2015年6月1日発行 性懲りもなくまたややこしい
-
-
『ボーンヤードは語らない』(市川憂人)_書評という名の読書感想文
『ボーンヤードは語らない』市川 憂人 創元推理文庫 2024年6月21日 初版 人気のない
-
-
『走れ! タカハシ』(村上龍)_書評という名の読書感想文
『走れ! タカハシ』村上龍 講談社 1986年5月20日第一刷 あとがきに本人も書いているの
-
-
『八月の銀の雪』(伊与原新)_書評という名の読書感想文
『八月の銀の雪』伊与原 新 新潮文庫 2023年6月1日発行 「お祈りメール」 ば
-
-
『こちらあみ子』(今村夏子)_書評という名の読書感想文
『こちらあみ子』今村 夏子 ちくま文庫 2014年6月10日第一刷 あみ子は、少し風変りな女の子。
















