『さよなら、ビー玉父さん』(阿月まひる)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
最終更新日:2024/01/10
『さよなら、ビー玉父さん』(阿月まひる), 作家別(あ行), 書評(さ行), 阿月まひる
『さよなら、ビー玉父さん』阿月 まひる 角川文庫 2018年8月25日初版
夏の炎天下、しがない30代男・奥田狐(通称:コン)のアパートを、小さな天使が訪ねてきた。天使の名は遊(ゆう)。離婚で別れた8歳の息子だった。久々の再会に、嬉しさより得体のしれない物に対峙したときの恐怖を感じてしまう狐(コン)。しかし息子は、上気した顔で、そんな父を見上げ微笑む・・・・・・・。
自分しか愛せない、とことんダメな父と、子どもでいることを必死に我慢する健気な息子が、親子をやり直すために奔走する姿を追う、涙が止まらない感動作。(角川文庫)
「第1回 角川文庫キャラクター小説大賞 〈隠し玉〉 阿月まひるのデビュー作! 」- とあります。
隠し玉!? ・・・・・・・
「カバーイラストは、柳沼行(代表作「ふたつのスピカ」)の描き下ろし! 」- なんだと。
柳沼行? ふたつのスピカ? ・・・・・・・ 知りません。私は何も知りません。
親であることを拒否した男のもとに、別れた息子が突然やってきた -
涙 でページがめくれない。
不器用な父と子の親子をやり直す、今年一番の 感動 作!
(で、市井の感想はといいますと - )
・親子っていいな。人間っていいな。
そんなことを考えながら優しい気持ちでページを閉じることができました。この物語に出会えたことを感謝。(30代女性)
・号泣した・・・・・・・愛を伝えることの大切さを、遊とコンは教えてくれた。(40代男性)
・コンはダメな父親じゃない。がむしゃらに子供に向かう姿は理想の父親でした。そして遊くんも、もっと子供らしく甘えていいんだよ?(20代女性)
※つまりは、(賞には届かないものの捨て置くには処し難く) 何より「泣けます」よということ。(私自身が泣いたかどうかは別にして) そうであるか否かをぜひご自身で確かめてください。
コンと遊の親子もいいのですが、中に登場する「キャロンちゃん」が(は)いい。キャロンちゃんは、本名を栗原伽論(くりはら・きゃろん)といいます。ふざけてついたあだ名でも何でもありません。
この本を読んでみてください係数 80/100
◆阿月 まひる
大阪出身。第1回角川文庫キャラクター小説大賞に応募した「仙人系クズ男のA玉」が評価される。応募作に加筆し、改題した本作でデビュー。
関連記事
-
『ミセス・ノイズィ』(天野千尋)_書評という名の読書感想文
『ミセス・ノイズィ』天野 千尋 実業之日本社文庫 2020年12月15日初版 大ス
-
『ほろびぬ姫』(井上荒野)_書評という名の読書感想文
『ほろびぬ姫』井上 荒野 新潮文庫 2016年6月1日発行 両親を事故で失くしたみさきは19歳で美
-
『最後の記憶 〈新装版〉』(望月諒子)_書評という名の読書感想文
『最後の記憶 〈新装版〉』望月 諒子 徳間文庫 2023年2月15日初刷 本当に怖
-
『ほどけるとける』(大島真寿美)_彼女がまだ何者でもない頃の話
『ほどけるとける』大島 真寿美 角川文庫 2019年12月25日初版 どうにも先が
-
『合意情死 がふいしんぢゆう』(岩井志麻子)_書評という名の読書感想文
『合意情死 がふいしんぢゆう』岩井 志麻子 角川書店 2002年4月30日初版 「熊」とあだ名
-
『おもかげ』(浅田次郎)_書評という名の読書感想文
『おもかげ』浅田 次郎 講談社文庫 2021年2月17日第4刷発行 孤独の中で育ち
-
『四とそれ以上の国』(いしいしんじ)_書評という名の読書感想文
『四とそれ以上の国』いしい しんじ 文春文庫 2012年4月10日第一刷 高松の親戚にひきとられた
-
『シュガータイム』(小川洋子)_書評という名の読書感想文
『シュガータイム』小川 洋子 中公文庫 2022年7月30日21刷発行 三週間ほど
-
『殺人カルテ 臨床心理士・月島繭子』(大石圭)_書評という名の読書感想文
『殺人カルテ 臨床心理士・月島繭子』大石 圭 光文社文庫 2021年8月20日初版1刷
-
『ボダ子』(赤松利市)_書評という名の読書感想文
『ボダ子』赤松 利市 新潮社 2019年4月20日発行 あらゆる共感を拒絶する、極