『さよなら、ビー玉父さん』(阿月まひる)_書評という名の読書感想文

『さよなら、ビー玉父さん』阿月 まひる 角川文庫 2018年8月25日初版

夏の炎天下、しがない30代男・奥田狐(通称:コン)のアパートを、小さな天使が訪ねてきた。天使の名は遊(ゆう)。離婚で別れた8歳の息子だった。久々の再会に、嬉しさより得体のしれない物に対峙したときの恐怖を感じてしまう狐(コン)。しかし息子は、上気した顔で、そんな父を見上げ微笑む・・・・・・・。
自分しか愛せない、とことんダメな父と、子どもでいることを必死に我慢する健気な息子が、親子をやり直すために奔走する姿を追う、涙が止まらない感動作。(角川文庫)

「第1回 角川文庫キャラクター小説大賞 〈隠し玉〉 阿月まひるのデビュー作! 」- とあります。

隠し玉!? ・・・・・・・

「カバーイラストは、柳沼行(代表作「ふたつのスピカ」)の描き下ろし! 」- なんだと。

柳沼行? ふたつのスピカ? ・・・・・・・ 知りません。私は何も知りません。

親であることを拒否した男のもとに、別れた息子が突然やってきた -

でページがめくれない。
不器用な父と子の親子をやり直す、今年一番の 感動 作!

(で、市井の感想はといいますと - )

・親子っていいな。人間っていいな。
そんなことを考えながら優しい気持ちでページを閉じることができました。この物語に出会えたことを感謝。(30代女性)

・号泣した・・・・・・・愛を伝えることの大切さを、遊とコンは教えてくれた。(40代男性)

・コンはダメな父親じゃない。がむしゃらに子供に向かう姿は理想の父親でした。そして遊くんも、もっと子供らしく甘えていいんだよ?(20代女性)

※つまりは、(賞には届かないものの捨て置くには処し難く) 何より「泣けます」よということ。(私自身が泣いたかどうかは別にして) そうであるか否かをぜひご自身で確かめてください。

コンと遊の親子もいいのですが、中に登場する「キャロンちゃん」が(は)いい。キャロンちゃんは、本名を栗原伽論(くりはら・きゃろん)といいます。ふざけてついたあだ名でも何でもありません。

この本を読んでみてください係数 80/100

◆阿月 まひる
大阪出身。第1回角川文庫キャラクター小説大賞に応募した「仙人系クズ男のA玉」が評価される。応募作に加筆し、改題した本作でデビュー。

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