『坂の上の赤い屋根』(真梨幸子)_書評という名の読書感想文

『坂の上の赤い屋根』真梨 幸子 徳間文庫 2022年7月15日初刷

二度読み必至!! 悪夢の高低差ミステリー 血まみれなのに読後感爽快!
愛、愛、愛、愛? くそったれ!

実の娘とその恋人によって、医師夫婦が殺害された。身体中を切り刻み、コンクリート詰めにするという身の毛もよだつ残虐なものだった。世間に激震が走った文京区両親強盗殺人事件から十八年後。事件をモチーフにした小説が週刊誌で連載されることになる。そこで明らかになる衝撃の事実とは? 真梨ワールド炸裂! 極上のイヤミス長篇。あなたは騙される快感を知る。(徳間文庫)

文京区両親強盗殺人事件の概要
文京区両親強盗殺人事件は、2000年に起きた東京都文京区に住む医師夫婦が男女二人組に殺害された事件。男女のうち女性は、殺害された夫婦の実の娘Sで、名門女子校に通っていた当時十八歳。

2000年6月12日、東京都文京区御殿町に住む医師の青田昌也さん (48) と、同じく医師で妻の早智子さん (47) が、自宅近くのマンション建設予定の空地で惨殺死体で発見された。夫婦の死因はともに刺傷による失血死で、全身をメッタ刺しにされた後、コンクリート詰めにされた。

同日夜、捜査本部は殺害された青田夫妻の娘S (18) と、Sの交際相手の大渕秀行 (21) を逮捕した。

二人は生活費を得るために、夫婦殺害を計画、殺害後、現金50数万円の他、通帳、家の権利書などを奪っていた。
翌年4月より裁判が行われ、どちらが主犯か、また両親の殺害に直接手を下したのはどちらなのかが争点となった。

大渕秀行とSの主張はことごとく食い違い、大渕秀行はSが主導したとして譲らず、Sも大渕秀行に洗脳されていただけで自分は両親を直接殺害していないという主張を覆すことはなかった。

2005年、東京地方裁判所は大渕秀行に死刑を、Sに無期懲役を言い渡した。大渕秀行とSは控訴、さらに上告もしたがいずれも棄却され、2015年に両者とも刑が確定した。(「三章 連載開始」 より)

大渕秀行は、なぜ、あのような犯行に走ったのか。そして、その共犯者であるあの女 は、今、なにを思うのか。

2018年9月某日。この事件について、かねてより温めていた 「ある計画」 を実行しようと動き出した人物がいます。そして、計画を実行するには関係者たちの証言が必要だ、と考えます。

そして、わたしが、最初の証言者として選んだのは、法廷画家 だった。

その人物、法廷画家だった鈴木礼子は、後に獄中結婚し、死刑囚・大渕秀行の妻になります。

この本を読んでみてください係数 80/100

◆真梨 幸子
1964年宮崎県生まれ。
多摩芸術学園映画科(現、多摩芸術大学映像演劇学科)卒業。

作品 「孤虫症」「えんじ色心中」「殺人鬼フジコの衝動」「深く深く、砂に埋めて」「女ともだち」「あの女」「みんな邪魔」「人生相談」「お引っ越し」他多数

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