『うどん陣営の受難』(津村記久子)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
最終更新日:2024/01/05
『うどん陣営の受難』(津村記久子), 作家別(た行), 書評(あ行), 津村記久子
『うどん陣営の受難』津村 記久子 U – NEXT 2023年8月25日 第2刷発行
100min. NOVELLA 【ハンドレッド ミニッツ ノベラ】 では約100分夢中で読める中編小説を1月、4月、7月、10月と年4回刊行します。今を生きる、生き抜いていく - 。その伴走をする小説レーベルです。
「控えめに言って、どっちもくそ」 現社長か二番手か 両陣営の醜聞合戦、囲い込み工作・・・・・・・代表選挙をめぐるドタバタ社内政治コメディ
四年ごとに開かれる会社の代表選挙。一回目の投票は票が散らばったため、上位二名による決選投票が行われることに。
現社長でもある藍井戸氏は手堅い保守層から支持を集め、対抗馬の黄島氏は吸収合併した会社のプロパー社員のリストラ等過激なスローガンを掲げる。接戦が予想される中、両陣営共に動向を窺うのは、一回目で三位につけた緑山氏の支持者たちであった。うどんを愛する主人公たち緑山陣営へ迫ってくる運動員からの圧力、上司からの探り・・・・・。社内政治の面倒臭さをリアルにコミカルに描く。(U – NEXT)
そこで出てくるうどんは、さぞかし美味しいのだろうと。でなければ、いくら職場の付き合いだからといって、わざわざ夜遅くに出かけたりはしません。社内のごたごたがそれで解消されるわけでもないでしょうに、うどんひとつで、かれらの結束はいかばかりかと。
「陣営」 というくらいですから、仕事をする上でそこそこ気の合う者同士の集まりではあるのでしょう。それはわかります。問題は(優先すべきは) 社内の問題解決かそれともうどんか - ということです。
うどんを出す名店も評判の製麺所も、そこにはいくつもあるのでしょう。思わず心で呟きました。香川かよ・・・・・。
この本を読んでみてください係数 85/100
◆津村 記久子
1978年大阪府大阪市生まれ。
大谷大学文学部国際文化学科卒業。
作品 「まともな家の子供はいない」「君は永遠にそいつらより若い」「ポトスライムの舟」「ミュージック・ブレス・ユー!! 」「とにかくうちに帰ります」「浮幽霊ブラジル」「ディス・イズ・ザ・デイ」他多数
関連記事
-
『異邦人(いりびと)』(原田マハ)_書評という名の読書感想文
『異邦人(いりびと)』原田 マハ PHP文芸文庫 2018年3月22日第一刷 たかむら画廊の青年専
-
『二十歳の原点』(高野悦子)_書評という名の読書感想文
『二十歳の原点』高野 悦子 新潮文庫 1979年5月25日発行 独りであること、未熟であることを認
-
『インビジブル』(坂上泉)_書評という名の読書感想文
『インビジブル』坂上 泉 文春文庫 2023年7月10日第1刷 第23回大藪春彦賞
-
『妖の掟』(誉田哲也)_書評という名の読書感想文
『妖の掟』誉田 哲也 文春文庫 2022年12月10日第1刷 ヤクザ×警察×吸血鬼
-
『生きるとか死ぬとか父親とか』(ジェーン・スー)_書評という名の読書感想文
『生きるとか死ぬとか父親とか』ジェーン・スー 新潮文庫 2021年3月1日発行 母
-
『憧れの作家は人間じゃありませんでした』(澤村御影)_書評という名の読書感想文
『憧れの作家は人間じゃありませんでした』澤村 御影 角川文庫 2017年4月25日初版 今どき流
-
『 i (アイ)』(西加奈子)_西加奈子の新たなる代表作
『 i (アイ)』西 加奈子 ポプラ文庫 2019年11月5日第1刷 『サラバ!
-
『歩いても 歩いても』(是枝裕和)_書評という名の読書感想文
『歩いても 歩いても』是枝 裕和 幻冬舎文庫 2016年4月30日初版 今日は15年前に亡くなった
-
『ペインレス 私の痛みを抱いて 上』(天童荒太)_書評という名の読書感想文
『ペインレス 私の痛みを抱いて 上』天童 荒太 新潮文庫 2021年3月1日発行
-
『今だけのあの子』(芦沢央)_書評という名の読書感想文
『今だけのあの子』芦沢 央 創元推理文庫 2018年7月13日6版 結婚おめでとう、メッセージカー