『素敵な日本人』(東野圭吾)_ステイホームにはちょうどいい

公開日: : 最終更新日:2024/01/08 『素敵な日本人』(東野圭吾), 作家別(は行), 書評(さ行), 東野圭吾

『素敵な日本人』東野 圭吾 光文社文庫 2020年4月20日初版

一人娘の結婚を案じる父に、娘は雛人形を指差して大丈夫という。そこには亡き妻の秘密が・・・・・・・。(「今夜は一人で雛祭り」) 独身女性のエリーが疑似子育て体験用赤ちゃんロボットを借りたところ・・・・・・・。(「レンタルベビー」) 世にも珍しい青色の猫。多くの人間が繁殖を目論むが・・・・・・・。(「サファイアの奇跡」) 日本人に馴染み深い四季折々の行事を題材にした4編と、異色のミステリー5編を収録! (光文社文庫)

久しぶりすぎて以前読んだのがいつだったのか、思い出せないくらい久しぶりに東野圭吾を読みました。

この作家に、ハズレなし。- というのはわかります。もう少し若かった頃は、割とよく読みました。ところが、私の読み方が悪いのか、思うほどには ” がつん” ときません。たいていが期待倒れで終わります。”まずまず” は面白いのでつい買ってしまうのですが、そんなこんなで嫌気が差して、しばらくは読まずにいました。

数十冊読んだ後、何年も読まずにいて、やっと気付いたことがあります。但し、これはあくまで 「私に限り」 ということで、熱烈なファンの方は悪く思わないでください。

激しく何かを求めるような読み方をしてはいけません。例えば、胸に刺さって抜けないような、感動のあまり涙するような、強く自省を促すような、そんな読書がしたいなら、概ねそれは東野圭吾ではないでしょう。

そのことを承知しておくべきです。過度に期待してはいけません。つもりとしては、あくまで息抜きとして選択すべき読み物です。するすると最後まで読めたとしたら、それでよしとしましょう。もしも予想をはるかに超えて感動したとしたら、それはそれで儲けものではないですか。

この本を読んでみてください係数  85/100

◆東野 圭吾
1958年大阪生まれ。
大阪府立大学電気工学科卒業。

作品 「放課後」「秘密」「容疑者Xの献身」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」「夢幻花」「祈りの幕が下りる時」「沈黙のパレード」「希望の糸」他多数

関連記事

『三千円の使いかた』(原田ひ香)_書評という名の読書感想文

『三千円の使いかた』原田 ひ香 中公文庫 2021年8月25日初版 知識が深まり、

記事を読む

『死んでもいい』(櫛木理宇)_彼ら彼女らの、胸の奥の奥

『死んでもいい』櫛木 理宇 早川書房 2020年4月25日発行 「ぼくが殺しておけ

記事を読む

『絶叫委員会』(穂村弘)_書評という名の読書感想文

『絶叫委員会』穂村 弘 ちくま文庫 2013年6月10日第一刷 「名言集・1 」 「俺、砂糖入れ

記事を読む

『私の友達7人の中に、殺人鬼がいます。』(日向奈くらら)_書評という名の読書感想文

『私の友達7人の中に、殺人鬼がいます。』日向奈 くらら 角川ホラー文庫 2020年12月25日初版

記事を読む

『サブマリン』(伊坂幸太郎)_書評という名の読書感想文

『サブマリン』伊坂 幸太郎 講談社文庫 2019年4月16日第1刷 『チルドレン』

記事を読む

『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』(辻村深月)_書評という名の読書感想文

『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村 深月 講談社 2009年9月14日第一刷 辻村深月がこの小説で

記事を読む

『最後の証人』(柚月裕子)_書評という名の読書感想文

『最後の証人』柚月 裕子 角川文庫 2018年10月30日8刷 検事を辞して弁護士に

記事を読む

『作家的覚書』(高村薫)_書評という名の読書感想文

『作家的覚書』高村 薫 岩波新書 2017年4月20日第一刷 「図書」誌上での好評連載を中心に編む

記事を読む

『それまでの明日』(原尞尞)_書評という名の読書感想文

『それまでの明日』原 尞 早川書房 2018年3月15日発行 11月初旬のある日、渡辺探偵事務所の

記事を読む

『十九歳の地図』(中上健次)_書評という名の読書感想文

『十九歳の地図』中上 健次 河出文庫 2020年1月30日新装新版2刷 「俺は何者

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『オーブランの少女』(深緑野分)_書評という名の読書感想文

『オーブランの少女』深緑 野分 創元推理文庫 2019年6月21日

『揺籠のアディポクル』(市川憂人)_書評という名の読書感想文

『揺籠のアディポクル』市川 憂人 講談社文庫 2024年3月15日

『海神 (わだつみ)』(染井為人)_書評という名の読書感想文

『海神 (わだつみ)』染井 為人 光文社文庫 2024年2月20日

『百年と一日』(柴崎友香)_書評という名の読書感想文

『百年と一日』柴崎 友香 ちくま文庫 2024年3月10日 第1刷発

『燕は戻ってこない』(桐野夏生)_書評という名の読書感想文

『燕は戻ってこない』桐野 夏生 集英社文庫 2024年3月25日 第

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑