『白いセーター』(今村夏子)_書評という名の読書感想文

『白いセーター』今村 夏子 文学ムック たべるのがおそい vol.3 2017年4月15日発行


文学ムック たべるのがおそい vol.3

書肆侃々房(しょしかんかんぼう)発行の雑誌 『 文学ムック たべるのがおそいvol.3 』 で読んだ短篇です。京都へ行った時、恵文社一乗寺店で買いました。

そういえば 『こちらあみ子』 (ちくま文庫) を買ったのもそうで、本の内容もそうなら、今村夏子という人がどんな人かも知らないで、しかし、これは読むべき本に違いない - そんな気がして、迷わず買ったのを今もはっきりと覚えています。

その時の感じを言えと言われても上手く説明できないのですが、時として、そんなことがあります。そしてそれは大抵外れません。たまに、思う以上の作品に出合ったりします。

あひる』 を読み、『星の子』 を読んで、私は今村夏子という人にとても興味を持ちました。こんな話を、どんな人が書くのだろうと。恵まれて、ただすくすくと育っただけの人なら、間違ってもこうは書かないのではないかと。そんな気がしてならなかったのです。

人に言えない劣等感。屈辱感に頽れて、泣いて帰った遠い日の記憶。幼い頃感じた、抱え込んで抜け出せなくなるような心の痛みや歪みが、あの頃と同じように書いてあります。そして、それは大人になった今もそうで、

それが、この 『白いセーター』 には書いてあります。

※この短篇は、クリスマスイブに婚約者の姉から子どもたちの面倒をみてくれと頼まれた主人公が、子どもたちとのちょっとしたトラブルから孤立感を深めていく様子が描かれています。

 

この本を読んでみてください係数  85/100


文学ムック たべるのがおそい vol.3

◆今村 夏子
1980年広島県広島市生まれ。

作品 「こちらあみ子」「あひる」「父と私の桜尾通り商店街」「星の子」など

関連記事

『阿蘭陀西鶴』(朝井まかて)_書評という名の読書感想文

『阿蘭陀西鶴』朝井 まかて 講談社文庫 2016年11月15日第一刷 阿蘭陀西鶴 (講談社文庫

記事を読む

『泳いで帰れ』(奥田英朗)_書評という名の読書感想文

『泳いで帰れ』奥田 英朗 光文社文庫 2008年7月20日第一刷 泳いで帰れ (光文社文庫)

記事を読む

『1973年のピンボール』(村上春樹)_書評という名の読書感想文

『1973年のピンボール』村上 春樹 講談社 1980年6月20日初版   1

記事を読む

『幸せになる百通りの方法』(荻原浩)_書評という名の読書感想文

『幸せになる百通りの方法』荻原 浩 文春文庫 2014年8月10日第一刷 幸せになる百通りの方

記事を読む

『四とそれ以上の国』(いしいしんじ)_書評という名の読書感想文

『四とそれ以上の国』いしい しんじ 文春文庫 2012年4月10日第一刷 四とそれ以上の国 (

記事を読む

『玩具の言い分』(朝倉かすみ)_書評という名の読書感想文

『玩具の言い分』朝倉 かすみ 祥伝社文庫 2012年7月30日初版 玩具の言い分 (祥伝社文庫

記事を読む

『侵蝕 壊される家族の記録』(櫛木理宇)_書評という名の読書感想文

『侵蝕 壊される家族の記録』櫛木 理宇 角川ホラー文庫 2016年6月25日初版 侵蝕 壊され

記事を読む

『自覚/隠蔽捜査5.5』(今野敏)_書評という名の読書感想文

『自覚/隠蔽捜査5.5』今野 敏 新潮文庫 2017年5月1日発行 自覚: 隠蔽捜査5.5 (

記事を読む

『邪魔』(奥田英朗)_書評という名の読書感想文

『邪魔』奥田 英朗 講談社 2001年4月1日第一刷 邪魔(上) (講談社文庫) &nb

記事を読む

『ぶらんこ乗り』(いしいしんじ)_書評という名の読書感想文

『ぶらんこ乗り』いしい しんじ 新潮文庫 2004年8月1日発行 ぶらんこ乗り &nbs

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

『また次の春へ』(重松清)_書評という名の読書感想文

『また次の春へ』重松 清 文春文庫 2016年3月10日第一刷

『老後の資金がありません』(垣谷美雨)_書評という名の読書感想文

『老後の資金がありません』垣谷 美雨 中公文庫 2018年3月25日初

『その可能性はすでに考えた』(井上真偽)_書評という名の読書感想文

『その可能性はすでに考えた』井上 真偽 講談社文庫 2018年2月15

『ラメルノエリキサ』(渡辺優)_書評という名の読書感想文

『ラメルノエリキサ』渡辺 優 集英社文庫 2018年2月25日第一刷

『銀河鉄道の父』(門井慶喜)_書評という名の読書感想文

『銀河鉄道の父』門井 慶喜 講談社 2017年9月12日第一刷

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑